モンテヴェルディと同時期に活躍した人。歴史の転換期なだけに、新旧の様式を最後まで並行して使っている。モンテヴェルディほどドラマティックじゃないが、繊細で美しい音楽だ。それだけに、澄明なアンサンブル、きめこまかな装飾音も非常に効果的だ。
ロレーヌ公の宮廷楽長を務めたが、今では滅多に演奏されることのないデマレの作品をクリスティが蘇らせた。このCDでは「グラン・モテ(ロレーヌの大モテット)」がとり上げられている。
フランス古楽界の第一人者、ウィリアム・クリスティ(アメリカ出身)がレザール・フロリサンを率い、シャルパンティエのクリスマスにまつわる作品を清らかに演奏している。
練達のバロック・ヴァイオリン奏者がソロとしての本領を遂に発揮した文字通りの入魂作。英仏の著名アンサンブルでリーダーを歴任、近年はクリスティの下でレザール・フロリサンを率いてきた。気心の知れた両者の真剣勝負は疎かには聴き流せない迫真力だ。★
バロック・オペラ一方の旗頭、ローマ派の巨匠ランディの埋もれていた代表作が音楽史の彼方から姿を現した。クリスティは若い声を集め、生気に満ちたドラマを眼前に繰り広げている。アレッシオの歌う第1幕のアリエッタなどため息が出るほどの美しさだ。
アニタ・オデイ、クリス・コナー等と共にケントン楽団を彩ったクリスティの77年の日本制作作品。熱心なファンであると同時に、擁護の手も差しのべた制作者サイドの愛情も見えて感嘆。アップからバラードまで、クールに歌い切る特有の歌唱を満喫できる。
フォン・オッターが、バッハのアリア集『バック・トゥ・バッハ』の次にクリスティと組んでフランス・バロックに取り組んだ一作。シャルパンティエ、ラモーのオペラに、ランベールの世俗歌曲も収録した魅力的なラインナップだ。
クリスマス・アルバムのような位置づけながら、全曲書き下ろしのため他とは一線を画すジューン・クリスティの1961年作品。特にバラード曲における、えも言われぬメランコリックな質感がたまらない。