本書のテーマ第一「「日本古典音楽」を見渡して考える」、「日本音楽の間」で、リズムといわず、間というのに深い意味がある。「唄(うた)字について」は、誰でも思いつくようで、これほど多面的に鋭く論じたのは珍しい。「日本の音楽理論における「中」について」は、上でもなく、下でもなく、中であることに意味がある。テーマ第二「芸能の相互関係の中でとらえる」は、日本音楽史の大きな命題。雅楽と声明と能とに詳しい著者の最も得意とする研究。テーマ第三の楽曲解説は著者の啓蒙活動の中心課題で、殊に能と長唄の関連する大曲は、著者の特に力をこめた論叢。テーマ第四「楽器の古態を絵画にさぐる」二篇は、近年、洋楽でも邦楽でも徹底を期した研究の生まれる領域となりつつある。特に著者の三味線のそれは殊のほか新規と評される。テーマ第五の文献解題二篇中の一つ「『めりやす豊年蔵』をめぐって-研究史を軸に」は、著者の最も力をこめた「研究史」的研究の実例。歌謡史研究の先覚、高野辰之、波多野賢一、藤田徳太郎の各氏等の研究に、東京芸大本、中央図書館本の校異を重ねた見事な筆致。
醍醐寺・童・芸能をキーワードに、中世寺院社会の多様性と実態を解き明かす。醍醐寺の組織構造の特質を検討し、童の存在形態からその役割と本質を分析。童が担った舞楽(童舞)に、中世寺院の芸能のあり方を探る。
民族生命の本源を予感させる詩魂の水脈。強靱な思索と尖鋭な感受性に支えられた深遠なる世界洞察。ゲェテ、ニイチェ、ハイデガー、そして安江不空につらなる精神の系譜を全存在の根底から照射、解明した雄渾無比の論考集。
10周年を迎える人気アニメ作品の既発CDすべてを纏めたコレクターズBOX。特に今回の注目ポイントは、1997〜98年にアニメイトから発売された3タイトルの限定カセット音源のCD化。貴重な音源が甦る。