二つの世界大戦から、革命と共産主義、無意識とセクシュアリティ、言語論的転回、アメリカの亡命者たち、映画と精神分析とファシズム、ホロコーストの記憶、構造主義、「歴史の終わり」、情報テクノロジーの進展、世界文学、そして「廃墟としての未来」まで…時代の転回期に「二〇世紀の夢」を振り返る徹底討議。
なぜ工藝は人間にとって重要なのか?民藝運動とアーツ・アンド・クラフツ運動の背後にある、広く深い思想的奥行きを探る比較思想研究の試み。
娘の絹とふたり、江戸の貧乏長屋で暮らす柳田格之進。身に覚えのない罪をきせられた上に妻も喪い、故郷の彦根藩を追われた身だった。しかし、かねてから嗜む囲碁には彼の実直な人柄が表れ、江戸で多くの知己を得る。ある日、旧知の藩士により、彦根藩での悲劇の真相を知らされた格之進と絹は、復讐を決意するのだが…。
自立への第一歩となるひとり暮らし。衣食住、お金、安全など生き延びるための最初の3週間、生活に慣れてきた3か月、季節や環境のパターンに合わせる6か月、そして未来に目を向ける1年、と生活を整える力が身につく。ベストセラー『「捨てる!」技術』著書による、進学や就職、結婚、別離など人生の転換期に役立つバイブル。
「絵師になりたき一念どうにも抑え難く」茨城県笠間を飛び出した15歳の山下りん。東京で工部美術学校に入学を果たし、西洋画の道を究めようと決意する。ロシヤ正教の宣教師ニコライに導かれ、明治13年、聖像画制作を学ぶため帝政ロシヤに渡るのだがー情熱に従って生きた日本初のイコン画家を描く圧巻長編。
独り身の作家・成瀬翔は転移性肝臓がんによる余命宣告を受ける。オペに抗がん剤、つらいだけの治療…。一方、ある事情で外科から内科に移り、妻子とも別れた主治医の佐倉陸は、成瀬の苦しみを丸ごと受けとめる。人は生きて死んで最後に何が残るのか。二人の人生をかけた最後の旅が始まる。誰しもの胸を熱くする感動傑作。
コロナ禍にも負けず、世界紛争にも絶望せず、妻からの無視、教え子からの軽視にもめげず、笑いを絶やさぬツチヤ教授。根気も勇気も元気もないが、落ち着きもない。威厳を嫌い権威を笑うが、自信もない。苦いコーヒーが苦手なのにブラックで飲むそのストイックな姿勢は我らの理想だ!?極上ユーモアエッセイ。
AIによる大量失業、アンチ・グローバリズム、人口減少による高齢化と過疎化…資本主義はいよいよ限界を迎えている。その背景には、昔はどこにでもあったコモン(共有地)の喪失がある。今こそ分断を超え、新しい共同幻想を立ちあげるときだ。絶望の果てに光を見出す希望の書。巻末に東大准教授・斎藤幸平との対談を収録。
人とあやかしが共存する京都で生まれ育った山崎炉子。実家の飲食店が経営難に陥り、名家・春日小路家の使用人として働き始めた。炉子は次期当主である翔也に淡い恋心を抱くものの、彼には容姿と財力、さらには付喪神を使役する“霊力”にまで恵まれた四人の花嫁候補がいて…。きらびやかな和風恋愛ファンタジー、第一弾!
卵を一個、二個、三個…ほろ酔いが生む愉しみ。千倉の海で仕入れた旬のサザエで作る、憧れのカレー。冬のスタートはいつも、柿の白和え。今はなき味、懐かしい人、私たちの暮らしと味をジワジワ変える影も見つめながら「おいしい」を深く追う人気エッセイ。藤原辰史(京都大学准教授)との対話「戦争から『食』を考える」収録。
お茶の稽古に通う25年間を綴ったエッセイ『日日是好日』。その映画化の依頼が著者のもとに。喜ぶのも束の間、思いがけず茶道指導者として撮影に参加する事になる。決死の覚悟で、樹木希林さんらプロ集団の中に飛び込むが、予期しなかった事の連続で…。愛おしくも怒涛の日々を綴った大人気シリーズ最新作。