都のあちらこちらに楽しげに現れては、伽羅の匂いを残して消える不思議の女がいた。露子姫の前にも姿をみせたという話を晴明が耳にした翌日、蜘蛛の巣に妙なものがひっかかったと僧が訪ねてきた。早速、博雅と寺に赴き、蝶のようなそれを放した晴明が知ることとなった女の正体とは?「はるかなるもろこしまでも」他、全九編。
「時は今あめが下しる五月哉」明智光秀はその日の直前こう発句した。坐して滅ぶかあるいは叛くか。天正十年六月一日、亀山城を出た光秀の軍列は本能寺へと向かう。戦国武将のなかでもひときわ異様な謎に包まれたこの人物を描いた表題作他、郷里の歴史に材を借りた「上意改まる」など3篇を収録。異色歴史小説集。
1930年代生まれの都市プランナーと、70年代生まれの若手による、問いと議論の応酬。都市計画の現実、矛盾と展望。
無能なキャリアに歯向かって謹慎となった若き刑事・水戸部は迷宮入り事件を担当する「特命捜査対策室」に配属された。15年前の四谷荒木町の殺しを再捜査せよ。専従捜査員は水戸部ただ一人。退職刑事を相棒に、水戸部は町の底に埋もれた秘密と嘘に肉薄してゆく。静かな余韻を響かせる警察小説シリーズ第一作。
後ろ姿に思いがけぬ老いがにじむ50代以降をどう生きるべきか。容色、体力、記憶力の衰えをありのままに受け止め、「愛される老人」となることを断固拒否し、富めるときも貧しいときも平然と上機嫌に暮らしたい!現在に対して用心したくない!人を疑わない!何でもうまくいくと思う!苦労の中から生まれた珠玉の楽天道を説く傑作エッセイ集。
蔵人・橘盛季に届けられた恋文。やがて姫君のもとに通うようになった男は一族の秘密を覗き見る(「銅酒を飲む女」)。貴公子・藤原道長は父・兼家に起きた異常事態を晴明と博雅に訴える(「首大臣」)。仲睦まじい猟師の兄弟を喰らおうとする者の正体とは(「夜叉婆あ」)。平安の都に蠢く生きとし生けるものの歓びと哀しみを活写する九篇。
尾張中村郷で農夫として静かに暮らしていた小竹は、兄・日吉の嘆願を受け、織田家への奉公を決意する。そこから、秀吉・秀長兄弟の伝説がはじまった。誰よりも家臣と領民、そして平和を愛した男が生涯をかけた夢とは?110余万石の大大名に上りつめ、「天下の調整役」として政権を支えた、豊臣秀長の波乱に満ちた生涯を描く!
人間の代わりに「八咫烏」の一族が住まう世界「山内」で、優秀な兄宮が廃嫡され、日嗣の御子の座についた若宮。世継ぎの后選びには大貴族の勢力争いが絡み、朝廷は一触即発の異常事態に陥る。そんな状況下で、若宮に仕えることになった少年・雪哉は、御身を狙う陰謀に孤立無援の宮廷で巻き込まれていく…。
患部に触れずに痛みが治まる「メソッド&エクササイズ」を初公開!世界的一流アスリートが絶大な信頼を寄せ、リハビリ患者が「神の手」と喜び、医学会が驚いた身体理論の提唱者。
草花粘土アート、10日間のレシピ本新登場!!樹脂粘土でつくる。本物そっくりだから可愛い!はじめてでも、かんたん。ていねいなレシピと、手順の写真がいっぱい。型紙付き!
どうして私にはこんな男しか寄ってこないのだろう?放火現場で再会したのは合コンで知り合った冴えない男。彼は私と再会するために火を?(「石蕗南地区の放火」)。夢ばかり追う恋人に心をすり減らす女性教師を待つ破滅(「芹葉大学の夢と殺人」)他、地方の町でささやかな夢を見る女たちの暗転を描き絶賛を浴びた直木賞受賞作。
踊りをもっと愉しんでいただきたいーそんな思いを込め、坂東三津五郎が魅力あふれる舞踊の世界へと案内。日本舞踊の本質や心得、身体の使い方や振りなどの知識から、三津五郎代々の藝、稽古の思い出まで、明晰な語り口で説き明かす。踊りをご覧になるときはもちろん、お稽古にも役立つ、とても贅沢な手引き。
史上もっとも高名な報道写真、「崩れ落ちる兵士」。しかし、やがて崩壊するスペイン共和国の運命を予告したこの写真には数多くの謎が残された。これはいつなのか。ここはどこなのか…。キャパとその恋人、ゲルダの足跡を追う世界各地への「旅」の末、明らかになった衝撃の真実とは。第17回司馬遼太郎賞受賞作。