絵画は美しいのみならず、描かれた時代の思想・宗教観を密かに映し出している。ミケランジェロのシスティーナ礼拝堂の天井画、レオナルド・ダ・ヴィンチの『モナ・リザ』、デューラーの『メレンコリア』、ジョルジョーネの『テンペスタ(嵐)』。世界の名画のなかでもとくに謎に満ちたこれらの作品から、絵画の隠された謎をさぐる。画家が本当に描きたかったのは何か、何に託してその意図を伝えたか?美術研究の成果を存分に駆使しながら、絵画に描かれた思想や意味を鮮やかに読み解くスリリングで楽しい美術史入門。
日本の美を貫くモチーフはなにか。『奇想の系譜』でセンセーションを巻き起こした当代一の美術史家が、縄文土器以来の歴史を渉猟しつつ、日本美術の独創的なおもしろさを掬いとり、その源泉を探る。をこ絵、絵巻、屏風絵から若冲、白隠、写楽、北斎の作品まで、そこに伏流する日本人の好奇心、奔放で闊達な「あそび」の精神、現世を金色の浄土に変化させる「かざり」への情熱を縦横に論じる。奇想から花開く鮮烈で不思議な美の世界へ読者をいざなう、刺激的な日本美術案内。
批評とは、無私を得る道であるー。ひとすじに八十年、小林秀雄はこの道を歩いた。ここにその折々の同行諸氏の追想・随想23篇。読者に、最良の道しるべ…。
“ゴットハルトは、わたしという粘膜に炎症を起こさせた”ヨーロッパの中央に横たわる巨大な山塊ゴットハルト。暗く長いトンネルの旅を“聖人のお腹”を通り抜ける陶酔と感じる「わたし」の微妙な身体感覚を詩的メタファーを秘めた文体で描く表題作他二篇。日独両言語で創作する著者は、国・文明・性など既成の領域を軽々と越境、変幻する言葉のマジックが奔放な詩的イメージを紡ぎ出す。
司馬遼太郎は言った。「短篇小説を書くというのは、空気を絞って水を滴らすほどのエネルギーがいる」。そうして生まれた短篇の豊かな世界を発表順に味わう。
本書では、家庭菜園で野菜をつくりたいと思っている人のために、なるべく育てやすい野菜や人気のある野菜76種類を中心に、簡単で安全にできるつくり方を紹介している。また、各野菜ごとに、初心者が失敗しやすい点と、失敗してしまったときの対処法も紹介している。
「極道は身代金とるには最高の獲物やで」。大胆不敵な発想でヤクザの幹部を誘拐した三人組。彼らと、面子をかけて人質を取り返そうとするヤクザたちとの駆け引きが始まった。警察署の目の前での人質交換、地下駐車場でのカーチェイス、組事務所への奇襲攻撃…。大阪を舞台に追いつ追われつが展開する痛快小説。
川中島の大会戦に勝利を得た信玄は、天下に号令する道を一歩一歩確実に歩んでゆく。しかし、長男の義信との仲が思わしくなく、やがて信玄は苦悩のすえ、親子の縁を断つのである。後継者を愛する湖衣姫との間にできた勝頼と決めた信玄は、強敵北条氏を追いおとすために、関東に軍を進め、小田原城に迫る。
甲州・信州の全域をわがものとして、さらに駿河府中をおさえた信玄は、いよいよ京都にのぼろうとするが、織田信長に先をこされてしまい焦るばかりだ。その上、年来の病いが身をしばりつける。合理的な戦術によって、合戦に転機をもたらした名将・武田信玄の生涯を描いた長篇三千枚がいよいよ完結する第四巻。
昭和七年、大胆不敵な手口で大森の銀行を襲ったギャングの記事が新聞の社会面に躍った。その直後、警視庁は共産党幹部の一斉検挙に着手。この二つの事件は、共産党に潜入した謀略者“M”が周囲を完全に欺き、操り、演出したものであった。謎の“M”の正体に迫る「スパイ“M”の謀略」、他に「『桜会』の野望」「五・一五事件」。
コンビニ、居酒屋、公園、カラオケルーム、披露宴会場、クリスマス、駅前、空港ー。日本のどこにでもある場所を舞台に、時間を凝縮させた手法を使って、他人と共有できない個別の希望を描いた短編小説集。村上龍が三十年に及ぶ作家生活で「最高の短編を書いた」という「空港にて」の他、日本文学史に刻まれるべき全八編。
僕の前に道はない…春眠暁を覚えず…おごりの春のうつくしきかな…分け入っても分け入っても…あはれ花びらながれ…昭和二十年代から平成八年までの日本の中学、高校の国語教科書千五百余冊の中から、誰もが知っている二百五十篇の詩、漢詩、訳詩、短歌、和歌、俳句を精選したまさに国民的愛唱詩歌集。巻末にうろおぼえ索引、作者・題名索引を掲載。
ひたすらに小林秀雄が歩んだ批評の道、無私を得る道ー。その足跡を、克明に記録する年譜、作品解題、著書目録、標題索引ほか…。
「ゲーテは植物が異常を現わすとき、そこに“原植物の理念”を見つけ出す最上の手がかりを見ています。…霊的な生きものである人間の場合にも、基本的には同じことが言えるのです。人体に潜んでいる異常性は、人間本来の霊性を外に開示してくれるのです」。この直観を宇宙大に拡張し、人類を巨大な障害児と見れば、“原人間の理念”探究に捧げられた人智学の使命が理解できよう。本書は医療と教育の現場に向けて語られた唯一の治療教育本質論であるとともに、シュタイナー思想の極北でもある。貴重な証言「人智学的治療教育の成立」(A.シュトローシャイン)を併載。改訳決定版。
ネコといっしょに暮らしたい、でも「?」なことばっかり…例えば、初めて飼うならオスがいいの、メスがいいの?病気かどうかはどう判断するの?などなど、ネコを飼うのに必要な知識から、人に聞きにくいこまかな疑問にも、丁寧にお答えします。さああなたも、たのしいネコとの生活を始めましょう。
空き地に生えるお馴染みの花、道ばたでよく見かける花、土手に群れる花、高原に涼やかに咲く花、里山で出合う花、深山にひっそり咲く花…園芸種とは趣が異なる味わい深い「野に咲く花」の魅力を満載しました。