警視庁公安部の倉島警部補は、自分と因縁のある元KGBの殺し屋ヴィクトルが、ロシア人貿易商のボディーガードとして日本に入国していると知らされる。そして、その貿易商が帰国前日に密会していた外務官僚が謎の死を遂げた。ヴィクトルたちを追い、倉島はモスクワに飛ぶ。緊迫の追跡捜査を描く、アクション・ノヴェルの傑作。
「人間科学」とは「ヒトとはなにか」を科学の視点から考えるものだ。現代科学は生命の起源を遡り、進化を論じる。ヒト遺伝子は既にその塩基配列がすべて解読された。それならわれわれは、ヒトについていったい何を「知っている」というのだろうか。もともとヒトは自分(脳)を尺度に世界を計る。では、「人間」を普遍的尺度としてヒトを定義することは可能なのか。ヒトに本来そなわる二つの情報系ー「神経系=脳=意識」と「遺伝子系=細胞=無意識」という入射角からヒトという存在を捉えなおす。養老ヒト学のひとつの到達点を示す本格論考。
英語を長年勉強したのに、なぜスラスラ読み、書き、話すことができないの!?原因は学校で習う「日本英語」にありました。単語を覚え、文法で分析し、語順を工夫して和訳する、この努力が日本人の英語を貧しくしてきたのです。なぜその方法ではダメなのか、ではどうすればいいのか、実践から得た揺るぎない結論がこの本です。「多読」とはやさしい本からたくさん読むこと。辞書をひかず、わからない語はとばし、つまらなければ途中でやめるという、「努力」も「根性」もいらない方法で、驚くべき実りが得られます。おとなもこどもも大丈夫。愉しみながら英語力を育てるためのすべてが、ここにあります。
気・心・体一如の合気道。技の根底に流れる気と高度の理論、合気道の精髄を吉祥丸二代道主が誰にでもわかるように解説した名著。世界中で翻訳され、愛読されているロングセラーを復刻。
アメリカの脳研究から生まれた、脳が冴える25の隠しワザ。
待望の、著者初の本格的音楽エッセイ。シューベルトのピアノ・ソナタからジャズの巨星スタン・ゲッツの“闇の二年間”、ブルース・スプリングスティーン、Jポップのスガシカオまで、すべての音楽シーンから選りすぐった十一人の名曲がじっくりと、磨き抜かれた達意の文章で、しかもあふれるばかりの愛情をもって語り尽くされる。
無銘の古刀に名匠の偽銘を切って高価な刀剣にみせかける鏨師。その並々ならぬ技術を見破る刀剣鑑定家。火花を散らす名人同士の対決に恩愛のきずながからむ厳しい世界をしっとりと描いた第41回直木賞受賞作「鏨師」のほか、「神楽師」「狂言師」「狂言宗家」など、著者が得意とする芸の世界に材を得た初期短編集。
ニュートン力学のあとを受けた18〜19世紀は、熱をめぐる世紀となった。なぜ熱だったのか?本書は、科学者・技術者の実験や論理を丹念に原典から読みとり、思考の核心をえぐり、現代からは見えにくくなった当時の共通認識にまで肉薄する壮大な熱学思想史。迫力ある科学ドキュメントでもある。後世が断ずる「愚かな誤り」が実はいかに精緻であったかがじっくりと語られる。新版ともいえる全面改稿の全3巻。第1巻は、熱の正体をさぐった熱力学前史。化学者ラヴォアジェが熱素説の下で化学の体系化をなしとげ、より解析的に熱を取り扱う道が拓かれるまで。