粋と無頼が匂いたつ街、SHANGHAI。豪壮な西洋建築が屹立するウォーターフロント空間=外灘(ハンド)。瀟洒なアールデコが華開く領事館世界。租界を一歩外に出れば、中華古来の迷路空間=県城や、蘇州河川向こうの日本人街=虹口(ホンキュウ)。「魔都」を舞台に列強や民族がくり広げる、権力と独立への夢と矛盾。上海をくまなく歩き、河岸にたたずみ、アジアの近代化の意味を、もう一度問い直す。
歴史上、つねに要害の地となった南京、越王勾践と呉王夫差があい争った水の都・蘇州、中国近代史の中心・上海、古くから文明が栄えた杭州、「香鑢峰の雪」で名高い廬山と磁器の景徳鎮を擁する江西、中国の臍・洞庭湖をはさむ湖南・湖北、国際貿易港として栄えた福建、山水の町・桂林、中国の南の窓・広州。バラエティに富んだ文明が重層して独特の文化を築いた中国の全体像を描く、歴史と旅の長篇紀行。
近代日本の中国政策と深くかかわっていた東亜同文書院大学。敗戦へと向かう厳しい状況のもと、沖縄出身の日本人学生として同文書院で学ぶ主人公と国籍の異なる学友たち-。「日中共存共栄」の架け橋であろうとした同文書院が歴史に果した役割は何であったのか…。矛盾と分裂のなかでせめぎあう自らの青春体験を投影しつつ、東亜同文書院の運命を追う、長篇大作。
文化大革命の燃え上がる初期の1966年8月、熱狂的な、若い紅衛兵の一団が、五十一歳になる、元国民党政府外交官の未亡人、鄭念とその愛する娘、梅平の住む、洗練された居心地の良い上海の家に乱入し、破壊と略奪の限りを尽くす。数週間後、鄭念は逮捕され、第一拘置所におくられる。彼女は、そこでその後の六年以上を、独房の幽閉生活の迫害と耐えねばならなかった。この本は、彼女自身が、この痛ましい時代とその後を回想して記した、人間の真の強さを伝える、感動的な物語である。クリストファー賞受賞。
本書は、ドイツ・ラインガウ地方のブドウ地方のブドウ商人の家に生れ、後にロンドンでブドウ酒関係専門の一流弁護士となった著者が、ドイツ・オーストリア・フランス・イタリアなどワイン産地の本場で行われてきた不正行為を暴露したものである。
「枯葉」が「愛の讃歌」が「詩人の魂」が聞こえてくる。ただひたむきに歌を求め、自由を求め、愛を求めてきた日本のシャンソン歌手・詩人・作曲家たちの鮮烈な生の軌跡。
’80年代のウォーターフロントにかわり、’90年代を海洋空間(オーシャンスペース)の時代としてとらえ、日本の海洋空間について歴史と景観の面から概観し、巌島神社やヴェネツィアのように海の特性を生かしながら〈ワザ〉と〈タクミ〉の二つのキーワードを同時に満たすプロジェクトを提案。ヒューマンな調和をめざす。
船を沈没させては保険金をだまし取るプロのサギ師・岩内亮は、偶然にアメリカ軍の最新兵器を手に入れた。それを目がけて怪しげな人物が、彼のまわりをウロウロ。どうやらCIA、KGB、モサド、さらには中国の諜報員らしい。世界のスパイを相手に岩内は大奮闘…。抱腹絶倒のコメディ。
古代ギリシアの知恵を伝えるイソップ物語の中から表題作はじめ、人間が登場するお話を中心に19編を選び、最も信頼のおける校訂者シャンブリのテクストより訳出。幼児のための読みきかせ・小学初級児がはじめて自分で読む本として最適。
華麗・多彩な中国56民族の服飾文化をカラー920余点ではじめて集大成。民族の個性と美意識の現れ=エスニックな服飾の原点。諸民族の服装の平面展開図を付す。
上海特派員土屋は上海日報で、昭和19年、汪精衛が秘かに帰国したのを蒋介石が察知、暗殺したというコラムを読み、匿名の筆者を追うが…。現代中国を浮きぼりにする情報推理小説。
上海特務工作員の山城は、カジノで一人の日本人の危機を救った。賭博好きのその男こそ、後の連合艦隊司令長官山本五十六であった。やがて太平洋戦争が勃発、山城は鉄壁の日本軍暗号を破らんとする中国側と暗闘を繰広げる。女スパイ羅刹女は日本に潜入し、乱数表を奪って逃走。山城は故国へ向い、凄絶な死闘が始まった。しかし、その勝敗に山本五十六の命運がかかっていようとは、彼も知る由もなかった。
「改革・開放」の〓@68B0小平号令で弾みがついた最大級の国家プロジェクト浦東開発の全貌と、次期首相有力候補朱鎔基(副首相・前上海市長)の政治力ー。中国が変わる。躍動する中国・上海最新リポート。
開戦前夜の上海。二人の若い日本人女性が連絡船から降りたった。それぞれの想いを胸に秘めて。東洋のパリと呼ばれた、その国際都市は謀略戦の真っただ中にあった。彼女たちと、一人のユダヤ人女性を暗闘の渦に巻きこんでいく、軍部の秘策、トパーズ作戦とは…?乱歩賞作家が、歴史の奔流に投げだされた三人の女たちの切ない恋と、波瀾の生きざまを、壮大なスケールで描く長編サスペンス小説。