本書では、人間の活動の原動力は「こころ」ではなく、「脳」すなわち「ニューロン」と「シナプス」であるという大胆な理論を『ニューロン人間』で展開し、フランス思想界に衝撃を与えた神経生物学者シャンジューと、フィールズ賞受賞の数学者でプラトン主義者コンヌが、「知能の名にふさわしい人工知能は物質から出発して実現可能か」という問いを中心に、それぞれ専門領域の知識と理論を対決させている。
華麗・多彩な中国56民族の服飾文化をカラー920余点ではじめて集大成。民族の個性と美意識の現れ=エスニックな服飾の原点。諸民族の服装の平面展開図を付す。
1925年、中国・上海で起きた反日民族運動を背景に、そこに住み、浮遊し彷徨する一人の日本人の苦悩を描く。死を想う日々、ダンスホールの踊子や湯女との接触。中国共産党の女性闘士芳秋蘭との劇的な邂逅と別れ。視覚・心理両面から作中人物を追う斬新な文体により不穏な戦争前夜の国際都市上海の深い息づかいを伝える。昭和初期新感覚派文学を代表する、先駆的都会小説。
『パリの味』でおいしいパリを紹介した著者が今度はワイン旅行でご招待します。本書に登場するワインのラベル、有名レストランの貴重なワイン・リストも載せました。
“東洋のバビロン”上海。かつて東洋一の繁栄を誇っていた都市の裏にはアヘン巣窟のボス、抗日テロリスト、女スパイなどの暗躍があった。東洋と西洋が混ざりあい、複雑な魅力と活気に満ちた魔都に惹かれた作家・ジャーナリスト15人が1911年〜1987年の上海のさまざまな顔をてらし出す。妖しい都市にとりつかれた編者による文庫オリジナル。
租界都市上海・植民地都市香港を舞台に、美しい祖国への夢破れアイデンティティーに苦しむイギリス華橋と腐りきった旧制度の大家族に心底愛想をつかしながら逃れるすべのない女性のロマンスの行方を描く「戦場の恋」他、6篇を収める。崩壊していく文明の本質を鋭く問い直す恋愛小説集。シリーズ完結。
「姉を、助けて」新進作家霞田志郎は、ファンの女子高生水沢美智子に、失踪した姉圭子の捜索を依頼された。姉妹の父正一は、中国陶磁蒐集で知られ、悲劇の武将岳飛愛用の“上海香炉”が自慢だった。志郎が水沢家を訪れた夜、香炉の飾られた寝室で、正一の愛人で美人タレント高岡聖子が殺された。失踪と殺人。この二つの事件に関連はあるのか?志郎は妹千鶴と謎に迫るが、やがて第二の殺人が…。本格推理界期待の新鋭が贈る知的興趣あふれる問題作。
若き学徒たちの体験にもとづいて綴られた辛亥革命や軍閥抗争などの内乱、侵攻する日本軍の実態、農民・商人の生活・風俗・習慣、大陸の美しき自然の記録・証言集。本邦初の完全復刻。
インドに魅了されることは、その属性に魅了されることである。その信仰、種族、風俗、山河、気温、動物等の多様性は訪問者たちを例外なしに考え込ませる放射線だ。著者は象の上から見たユーモラスな世界を感動的に語る。
上海特派員土屋は上海日報で、昭和19年、汪精衛が秘かに帰国したのを蒋介石が察知、暗殺したというコラムを読み、匿名の筆者を追うが…。現代中国を浮きぼりにする情報推理小説。