歴史を語るモノとしての系譜・神話を独自の視点から読み解き、古代における「歴史感覚」の特質を解明するとともに、ジェンダーと権力をめぐる普遍的な議論をふまえた斬新な女帝論を提示。古事記・日本書紀により垂直の時間軸をもつ王統譜として成型された「王権の歴史」の枠組みを超え出て、私たちの古代認識を根底から問いなおす、新しい日本古代王権論。
私はなりたいと思う自分になるのだ!体は男、心は女ー性同一性障害者の私の居場所は、はたしてこの社会にあるのか。生きづらさを抱えるすべての人を元気づけ、ときに爆笑させる、知恵と勇気と溢れるユーモアの自伝的物語。
男女をめぐるさまざまな意識が変わりはじめた七〇年代。歌謡曲もまた日本の音楽史のなかで、劇的に変化した時期だった。時代の空気に敏感に反応する流行歌には、男女の姿が徹底的に描きだされている。理想の恋愛像や親子像、既成の「男らしさ、女らしさ」とそれに代わる新しい価値観…。歌謡曲という大衆芸術は、今日にいかなる遺産を残したのか。阿久悠、松本隆、阿木燿子らの詩、ピンク・レディー、桑田佳祐、太田裕美らの歌を丹念に読みとき、男女間の変遷を掘りおこしていく。文学や社会学の領域をも超え、七〇年代を俯瞰する文化論としても読むことができるダイナミックな試み。
宮崎駿が唯一「自分のため」の「個人的な映画」、-『紅の豚』を制作するに至った背景には、いったいなにがあるのだろうか?「千と千尋の神隠し」、「もののけ姫」、「天空の城ラピュタ」、「風の谷のナウシカ」に描写された色彩に視点をおいて、「紅の豚」をジェンダー論から考察する。
本書は、一貫して家族・夫婦臨床の現場に携わってきた著者の集大成ともいうべき技法指導書である。思春期・境界例の事例を交えて、初回面接と見立て、ロールシャッハ・テストを用いたアセスメントなど、日常臨床における治療のコツを詳しく解説している。さらに特筆すべきは、夫婦面接の事例を数多く取り上げ、ジェノグラムやロールシャッハ・フィードバック・セッション(RFBS)を駆使しての治療的取り組みを詳細に論じていることである。家族・夫婦療法面接を現場で実践するための優れた解説書である。
移民女性看護師の生活世界に迫る境界侵犯的エスノグラフィー。著者が10歳のとき、彼女の母親は、彼女と幼少の弟二人を心優しい夫の手に託し、看護師としての技能をいかすためにアメリカにわたった。そして、その二年後、四人は新天地で母親と合流することになる。本書は、この旅路の社会学的意味を明らかにするものである。
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