日本海側に位置する、とりたてて特色のない雪国・X県。地産地消の食べ物、整った子育て環境、健康長寿。X県を彩る言葉は女たちを縛り付けて、放さない。30歳の蒼子は、代々X県に土地を持つ家の一人娘。夫と二人きりで、自らの実家で穏やかに暮らしていた。彼女が自分の姿を重ねるのは、隣家を守り続けてきた番犬トウマ。年老いたトウマは、飼い主の母娘に虐げられていた。蒼子はまだ知らない。彼女を取り巻く人々の悪意が、幸せの裏で膨れあがっていることを。「隣犬トウマの破顔」ほか、X県で暮らす6人の女性の幸せの歪みを描く、連作小説。
不妊による離婚や、ままならぬ仕事のことで鬱々と過ごしていたフリーライターの舞は、耶知子さんというおばばと出会う。耶知子さんは、わだかまりを抱いたまま「死」を迎える人々の心に、不思議な力で分け入ってゆくことができた。そんなおばばと過ごすうちに舞は、ライターとしてこの世に書き残すべき本当に大切なことを見つけていたー。人間の弱さや身勝手さをも優しく包み込んでくれる、余韻切ない連作ミステリー。
勝つことの引力に魂を縛られた現代人。「敗者」の99%は自滅だ!「勝者なき時代」の人生指南書No.1。
カラスとオオタカの空中戦、コンクリート張りの川で繁殖するカワセミ、高層ビルで子育てするハヤブサ、新たに進出してきたイソヒヨドリ、スズメやツバメの営巣地の栄枯盛衰…。都会は自然の少ない人工的な環境だが、鳥たちはしたたかに適応して生きている。身近な鳥、珍しい鳥、意外な鳥たちの知られざる生態を紹介するとともに、人間と鳥たちとの関係の変化も解説、読めば街歩きが楽しくなる。写真多数、カラー口絵16頁。
ふと季節の花に目がとまったとき、鳥のさえずりが聞こえたとき、「名前はなんだろう?」と気になることはありませんか。そんなとき、重宝するのがこの図鑑です。生きものの特徴をピンポイントで示したので、簡単に名前がわかります。名前がわかると、生きものが身近に感じられ、自然をより豊かに感じられるでしょう。気軽に持ち歩けるので、散歩のおともにもぴったりです。自然が好きなあなたのための図鑑です。
勝ち気な美少女・まゆみは、父を亡くし、愛らしい弟と病弱な母と東京に向かっていたが、道中で母も病死してしまう。偶然居合わせた辻男爵家の家庭教師・純子は、二人を見捨てられず引き取ることにする。男爵家にも家族同然の愛情を注がれるも、人から施しを受けることが気位の高さゆえ許せないまゆみは、弟を残し家出しー。数奇な運命に導かれて行き着く先は?
町の中で見かける鳥たちには、実は意外な面が多くある。スズメはいったい、どこに住んでいる?ハシブトガラスとハシボソガラスはどうやって見分ける?四季を鳥から知る方法は?都市で鳥とうまく共生するにはどうするべき?関心をもって見てみると、身近な鳥の生活は発見の宝庫である。さあ、この本をもって町に出よう!カラー口絵など図版を多数収録!
日本の鳥333種。「けさの鳥」分類表付。鳥の分類学的位置、レッドデータ・ステータス、県鳥などの情報充実。
アウトドア派必見!スズメバチから身を守る方法。次に刺されたら、死ぬかもしれない…ハチ毒陽性芸人、覚悟のレポート満載!
暗い雨の日には、お堀ばたを歩いてはいけない。オホリノテに、影を喰われるー舞台は現代の福井、平穏に暮らす公務員・奈津美が見たものは何か。雨の日に這い出す藻草、タブノキの下に埋まっているもの、午前2時19分に鳴る公衆電話、出られないトンネル…実話から織り上げた珠玉の怪談小説。第2回『幽』怪談文学賞短編部門大賞受賞作。
完全に封印され「密室」状況となった館で起こった一族六人殺しの真犯人は、いったい誰だったのか。事件から一年後、真相を探るべく館にやってきた兄弟たちは推理合戦を繰り広げる。そして、また悲劇の幕が開いた…。恐怖と幻想に満ちた本格ミステリー。巻末に全著作リストを付す。
稲作が伝播したむかしから、日本人とともに生きてきてもっとも親しまれてきた鳥・スズメではあるが、小さくて、そのうえあまりにもありふれた印象を与えるために逆につかみどころがなかった。どこからともなく人家の庭などに飛来してまた去っていくが、スズメはいったい何を食べ、どこで眠り、どのような一生を送っているのだろうか。個体識別がむずかしいため、これまであまり知られることのなかったスズメの生態をさぐる。
同じ夢を追いかけた女たち五人の愛と性。純粋で透明なエロスを漂わせる。「雀」を軸に、彼女たちがパワフルに生きる姿を描いた感動の長篇大作。
山の侘び寺で穏やかな生活を送っている白雀尼にはかつて、真島隼人という慕い人がいた。が、隼人の四年余りの江戸遊学が二人の運命を狂わせる…。心に秘やかな思いを抱えて生きる女性の意地と優しさ、人生の深淵を描く表題作ほか、武家社会に生きる人間のやるせなさ、愛しさが静かに強く胸を打つ全五篇。前作『鷺の墓』で「時代小説の超新星の登場」であると森村誠一氏に絶賛された著者による傑作時代小説シリーズ、第二弾。
雀をかわいがるじいさま。ふん、と横をむくばあさま。じいさまの愛の深さと、ばあさまの欲の深さを昔話はりくつをいわず、繰り返しというかたちで鮮やかに伝えます。
放課後誰もいなくなった教室、夜中の肝試し。またたく間にクラス中に広がった都市伝説や怪談。遊びのつもりが追い込まれて本気になったデスゲーム…。人気作家が集結、それぞれが描いた恐怖の物語とは?いまこそ読みたい物語を厳選、超豪華ラインアップでおくる短編小説集『きみが見つける物語ー十代のための新名作』。「こわーい話編」には、赤川次郎、江戸川乱歩、乙一、雀野日名子、高橋克彦、山田悠介の短編を収録。