沙漠と草原と山岳の彼方に霞んでいた19世紀中央アジア。そこに割拠するトルコ系種族は、周辺国民を掠奪、奴隷に売る凶暴さで恐れられた。しかし英・露の勢力争いに巻き込まれ、結局は、次々とロシア軍に滅ぼされていく。その悲劇を見た多くの探検家たちのスリルに満ちた探検ぶりと生涯を描く。
がんばれ、関西。難事件を関西弁パワーで解く連作ミステリ。
龍潭譚=母を亡くして間もない少年が、夢のような世界の中で、怪しいまでに美しい女と出会い、幻の乳房を吸い、幻の血を見る。さゝ蟹=彫刻の名人が亡くなって、その道具も売り払われた寂しい晩に、名人が心に懸けていた蟹の彫刻が、仏壇から走り出た。幻往来=大学病院の近くで医学生が見かけた美しい病人。やがて医学生は、その面影を遊廓の中でも見るほどにとり憑かれていく。高野聖=山中に迷いこんだ若い僧が、出会った美女に谷川での水浴びを勧められ、美女の肌に心惑わされる。しかし、その女こそ自分と交わった男を次々と動物の姿に変えてしまう妖女だった。
この声を聴け、不世出のアイヌ青年の悲痛な叫び。「アイヌと云ふ新しくよい概念を内地の人に与へたく思ふ」病に侵されながらアイヌ解放を歌に詠んで、彗星のごとく世を去ったアイヌ青年の憤怒と絶望の証言が蘇る。
17歳から18歳の少年と少女にとって夏は特別の季節だ。夏の間に、少年と少女は大人への第一歩を踏み出す。初めて自らの意思で理想の異性を意識することによって。-梅雨のあいま、本格的な夏、そして晩夏。それら夏の独特の時間の中で、ほとばしる少年と少女の繊細な官能性のすべてを、さわやかに、端正に表出した片岡義男の青春小説集。「私とキャッチ・ボールをしてください」「永遠に失われた」など清冽な7篇を収録。
明治中期、日本の山々をこよなく愛し、精力的に踏破した英人牧師ウェストン。山村の風俗を、ひらけゆく日本アルプスの姿を、記録にとどめて広く海外に紹介し、宗教的登山一色の山に、近代アルピニズムの新たなうねりを巻き起こした古典。
神は嫉妬という醜い狂気により、ミカエルとルシファーの仲を引き裂いた。しかも、神はルシファーに「暗闇」の封印を枷としたのだ。すべての記憶は意識の奥深く閉じられたまま、下界へと流されたルシファー。下界では、新たな運命が彼を待ちうけていたが…。マンネスク・ファンタジー上巻。
すべての記憶を封印されたまま下界へと流されたルシファー。下界で、キースと名乗り、新たな日々を送っていた。そこで、彼は「天使」のような美貌を持つ青年ルカ出会う。いつしか惹かれあう二人ー。封印された記憶を取り戻すためには、自らの意志で真に目覚めなければならない。キースはルシファーに戻り、愛するミカエルの元に帰ることができるのか。ロマネスク・ファンタジー下巻。
ヒマラヤの秘境に生きる竜王の国ブータン。遊牧文化と稲作文化がまじりあい、時間はゆったりと流れる。そして神秘のラマ教文化が生活に溶け込み鮮やかな原色の世界に彩られていた。何年か前の日本をほうふつとさせるなつかしさと共に鮮烈な驚き…。世界初の長期踏査を果たしたNHK取材陣によるブータン縦断紀行。写真をふんだんに用い、神秘の国ブータンを紹介。
ちびぞうがおながざるとたんけんにでかけました。わくわくするぼうけんがまっています。小学校1〜2年生むき。