この本は健全な歯をより一層認識し、無髄歯にならないように努力してもらうための本であり、同時に無髄歯となった歯の根管処置についての正しい理解と、術者の大変な努力を知っていただくためのものです。
エナメル質はほかの組織と同様に細胞によって作られるにもかかわらず、最終的にはきわめて高度に石灰化し、鉱物と同じような性状を獲得する。その意味でエナメル質は同じ石灰化組織である骨や象牙質よりも学際的な研究の場としての性格がはるかに強いのである。
歯学においても診断は治療の第一歩である。本書の構成はその基礎資料の作り方、記録、レントゲンの読像など歯科臨床記録のあり方から歯周治療、咬合再構成、総義歯までを含む。次に、われわれは日常の臨床の中で患者に満足感に如何に貢献するかを考えていかなければならない。痛みをとったり、咀嚼を回復したり、美しくしてあげたり、歯科に課せられる要求は少なくない。今回はその中でも特に一つ審美性に焦点をあてた。
本書は、とくに頭頚部領域の癌患者の、リハビリテーションのもつ複雑かつ多様な問題に取り組んでいる。また、医師の他に、歯科医師、看護婦、ソーシャルワーカー、心理学者、聖職者、職業カウンセラー、言語治療士など、種々の専門家、医療関係者の果たすべき役割についても詳しく述べてある。
近年、歯科の各分野ではさかんにチタンおよびチタン合金の臨床応用の研究が進められるようになった。そして歯科に関するかぎり、チタン素材の基礎的研究や鋳造法、応用法の研究では、日本は世界のトップを走っているといわれる。本書は、このように世界をリードする日本のチタン研究のすべてを、基本から応用部門まで余すところなく網羅した初の刊行書である。