著者は1964年以来、たびたびイランの農村に長期滞在し調査を重ねてきた。農民たちは、地主に搾りあげられた極貧の時代から、国王の農地改革、ホメイニーのイラン革命、対イラク戦争を経てどのように対応していったか。共同体的規制の耕地制度、村の権力機構の解体過程を基軸に、農民たちの日常生活、沈黙、反抗、したたかな生き様を25年間にわたって記録する画期的な試み。
丘上・山岳地帯に広がるイタリア中世の山岳都市。本書は、その造形デザインの魅力のとりこになり現地に留学した著者による、山岳都市への誘いの書である。ひっそりと山の中でいまも生きつづける25の山岳都市を、300点余の写真・図版とともに紹介する。ここには、現代が忘れかけている、歴史の中で培われてきた建築と街づくりの知恵がある。
世界的神経内科医が描く不思議な症例の数々。医師と病と患者をめぐる感動の人間ドラマ。
ヨーロッパ精神史研究の大先達、つねにアクチュアルな思想家=レトリシアン、次々新しくスタートラインを引き直す方法的アマチュア…。よき対話者を得て自在に語り出された〈林達夫的精神〉の形成・遍歴・方法。
ギリシア悲劇『ペルシアの人々』と能『実盛』の構成と文体の分析を通じ、劇的諸契機と詩的言語表出とが優れて渾然一体となってドラマトゥルギーを形成しているゆえに、表現芸術の極致をゆくことを明らかにした名著の完訳。
家族って、いったい何なのか。不倫の主婦則子(「岸辺のアルバム」)、病妻を恋うる老人隆吉(「ながらえば」)、日常から逃走する会社員孝平(「丘の上の向日葵」)…あのドラマの主人公たちが、いま甦る。
“理解する”熱力学から“使える”熱力学へ。多彩な応用問題につながる基本的良問のみを厳選。その解答にいたる道筋を懇切丁寧に(自分の手で計算する必要がないほどに)説明する。画期的な“読む”演習書。
本書は庭で観察した生きもののうち、八種類の虫を選んで観察順に並べ、実際の観察経過に即してまとめたが、一シーンの観察や撮影に数年を要することもあり、それぞれのストーリーは四、五年におよぶ観察からなっている。写真は虫の実態をよく把握しうるアングルのものを選び、できるだけやさしい解説をつけて、写真を見ただけでも一応の理解ができるようにつとめた。
TV、「知ってるつもり」で放映、大感動!“百歳現役うめ子先生”が語る凄い人生。
本書は、サイコドラマのプロセスの中でいったい何が本質的に治療に効果をもたらすのか、その定義から始まり、アクション洞察、アズ・イフ体験、マジック、テレ、プロセシングなどのサイコドラマ特有の諸概念が豊富な具体例に添いながら説明されている。また治療者としての4つの役割(分析家/プロデューサー/治療者/グループリーダー)を整理しつつ行動分析家としてのサイコドラマティストの多面性も明らかにされている。
誰もが「燃えて生きたい」と願っている!上司、親、教師に贈る「新しい人間観」の提唱。ひとりひとりの「人間力」を引き出す画期的リーダー論。
犬好き大集合!涙あり笑いあり、しっぽのついた天使と主人がくり広げるこの世にひとつしかない犬たちの物語。第二回わんマン賞受賞作品(短編部門)。主人の愛が伝わる12の小さな物語。
本書は『庭にきた虫』に続く庭の「いのち」との交友録である。45年間に庭でつき合った20種余りの鳥たちを主役として、その生態や行動、習慣などを鳥の餌となる虫や植物との関わりも含めてまとめた。庭の生きものたちのつながりと全体像を余すところなく伝えたく、虫や鳥と併せて観察・撮影を続けてきた庭の植物についても随所で紹介した。
久しく会っていなかった弟のアレクサンドルから、突然、アナスタシヤのもとへ電話がかかってきた。どういうわけか、ガールフレンドのダーシャと訪れた友人宅が、次々と盗難に遭っている。もしかして、彼女が泥棒を手引きしているのではないか、極秘に調べてほしいという。さっそくダーシャの身辺を洗いはじめるが、その彼女には担ぎ屋グループの尾行がついており、さらにその担ぎ屋を追う男の影があった。九年前、男の息子は、四人の少年たちに嬲り殺されたのだが、犯人はいずれも十四歳以下で刑事責任を問えない。法律が罰しないのなら、みずからの手で罰するほかはないと、長い年月をかけて復讐の機会をねらっていたのだ。…いくつもの殺人が錯綜しながら、事件は混迷の度を深めていく。