ジョージ・ガーシュウィンの生誕100周年を記念しての、それもデッカ・レコードに残したシンガーたちの彼の作品を集めた好企画。ジュディ・ガーランドからペギー・リー、ビング・クロスビーらの歌声からは、古き良き米国の光景が浮かんできそうだ。
クナイスは、85年に解散したウィーン・ブロックフレーテ・アンサンブルのリーダーを務めていた。オットテールのop.2の全曲は他になく、アナリーゼにも十分時間をかけているようだ。音の粒立ちが良く、高域でも決してやせないやわらかい音色が魅力的。
なんといきいきとした音の運動の喜びにあふれていることだろう。この頃のイタリアといえばvnの王国というイメージが強く、クナイスも解説で「恐らくすべてがvnまたはコルネット」の曲だろうというが、聴けばリコーダーの曲としか考えられないほどに見事な演奏。
なんと全曲が短調だ。日本人好みのアルバムかも。編成は(6)の2recを除いては全てrecとvn。クナイスは虚飾のない素朴・誠実な語り口だが、どちらかといえば、アルトを吹くときの方が、そしてまたゆっくりとした曲調の方がいっそう味わい深い気がする。
近現代の日本歌曲で定評のある藍川由美が、自由劇場や黒色テント68/71の演劇やブレヒト作品の劇中歌による林光ソングを取り上げた。振り幅いっぱいの表現と明瞭な日本語が、清冽な印象を与える。作曲者自身のピアノは控えめだが慈愛がこめられている。
最高の音で楽しむために!