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家庭とは、外界の圧力から守ってくれる安全地帯であって欲しいという思いから、われわれは家庭内に暴力が存在すること自体に目を塞いできた。殊に夫婦間暴力は、暴力的配偶者(バタラー)と被虐待女性(バタードウーマン)の親密な共依存関係の中に深く隠蔽され、いまだ名付けられることなく、われわれの社会にも密かに根をおろしている。本書に登場するのは、愛を託した男性に殴打され、罵言を浴びせられ、自尊心を剥ぎ取られた、40名に及ぶバタードウーマンたちである。家庭内における女性虐待研究の先駆者であるウォーカー博士は、詳細なインタビューによって、その生々しい呻き声を伝えている。さらに、暴力サイクル説と学習性無力感の概念によって、このような虐待関係を維持してしまうバタードウーマンの心理を明解にし、彼女たちがバタラーの支配から脱出した先に見える「新しい明日」を描いている。