78年、ディランが初めて来日した時の、武道館でのコンサートを収録・構成したライヴ盤。この時の日本公演は、'66年のあのオートバイ事故以来の、12年ぶりのワールド・ツアーに先立つものでもあり、その意味でもこのアルバムは貴重な記録だと言える。8人編成のバンドと3人の女性コーラスを従えて、過去16年間の代表曲を大胆なアレンジでプレイするディランはとても力強い。このライヴ盤を聴いて、「京都の龍安寺の石庭で今もなお鳴り続けている」というディランの「心臓の鼓動」を聴きとれる人は少ないだろうが、このライヴ盤を楽しむことは誰にでも出来る。ディランの他のアルバムと同じように、さまざまなやり方で、自由にーー。
23年ぶりとなる“グレーテスト・ヒット”シリーズの第3集。73〜90年のアルバムからディラン自身が選曲した13曲に新曲(7)が追加されている。またジャケット・デザインまで関与したという、いかにもディランらしいこだわりがファンにはうれしい。
昨年の来日時と同じ顔ぶれでの、昨年11月ニューヨーク録音。ディラン名義では未発表だった幻(?)の楽曲の30余年ぶりの録音(5)をはじめ、珍しい楽曲をいくつも取り上げている。彼はいつだって変わりようもなく彼だが、その彼の本質を精製したような内容だ。
新曲ばかりのレコーディングは、実に7年ぶりだそう。ツアー・メンバーに同世代のベテラン・ミュージシャンを加えた編成で、泥臭い歌と演奏を聴かせる。前作『奇妙な世界に』くらいなまなましい音質でもよかった気はするが、ディラン自身は気力十分。