ドミニコ会宣教師がラテン文字の日本語で編んだ『懺悔録』(ローマ、一六三二年刊)。天理大学附属天理図書館所蔵本の原色影印、翻刻・翻字、解題等のほか、欧米の研究者へ向け、ポルトガル語全訳を収める。コリャードが聴取した日本人信徒の告解のかずかずは、一七世紀初頭の日本人の心性と、社会・風俗・習慣を明らかにする。また、ポルトガル語式のラテン文字で再現された信徒の肉声は、日本語史研究の貴重資料。特論として、キリシタン史研究の泰斗・高瀬弘一郎の論考から『懺悔録』の内容に関係の深い三点を選び、葡・日両言語で紹介。