覇権を奪いあう諸王たちの中から、楚の荘王が傑出してきた。夏姫を手中にして逡巡した楚王は、賢臣巫臣に彼女を委ね、運命の二人が出合った。興亡激しい乱世に、静かに時機を待った巫臣は、傾国の美女を驚くべき秘密からついに解き放ち、新しい天地に伴うのであった。気品にみちた、長編歴史小説。
南町奉行、内与力早乙女源六は、定町廻り同心筧彦七と岡っ引きの甚八ら六人を従えて裏探索方を務めていた。源六は老中より阿片がらみで失踪中の旗本、黒田左太郎を追うよう密命を受ける。その黒田が斬殺体で発見され、三日後に薬種問屋「肥前屋」から千両箱と阿片の入った皮袋が盗まれた。源六たちは、黒田家と確執のあった中野播磨の屋敷を見張り、不審な動きをする男たちを追って長崎へと旅立つ。長篇本格時代小説。
一本の槐の樹からすべては始まり、函谷関に至る。青年風洪の光と夢に祝された華麗なる物語世界。宮城谷中国小説のついに最高傑作。
プリンセスのための特別寄宿学校から、悪い魔法で生徒たちが消された。婚約者のプリンスたちは、のろいをとく“魔法のリンゴ”を手に入れなくてはならないのだが…(「プリンセすたち失踪事件」)。“日曜日だけ美人”ののろいをかけられたプリンセス、職業紹介所で募集されたキング、魔法使いの心臓を手に入れたプリンスなど、ふしぎでゆかいな“魔法と恋の物語”6編を収録。小学中級から。
江戸南町奉行より密命を受け、裏探索方を務める内与力の早乙女源六は、配下に定町廻り同心筧彦七、岡っ引き甚八ら六人を従えていた。その源六らが、妙な事件に巻き込まれる。一刀のもとに斬殺された死体を発見するが、辻斬りの目的は物盗りではなく大小の抜き身にあり、しかも次々と襲われるのは薩摩藩士だった。何故刀を。やがて、刀に隠された真相と謎の集団を追って、源六たちは京へと上る。長篇本格時代小説。
十兵衛亡きあとの混迷の江戸柳生。対する連也斎率いる尾張柳生の隆盛。-将軍家剣術指南役の家に生まれながら、坊主にさせられた烈堂は、不甲斐ない当主に代わって連也斎を倒すべく修行の旅に出た。めざすは父宗矩に剣禅一如の極意を授けた沢庵和尚の秘奥義。が、連也斎も同じものを求めていた。沢庵が遺した謎の問答をめぐり、烈堂の剛剣が鞘走る。
日本女性の地上乗務員が笑ったり泣いたりびっくりした乗客との悲喜こもごものお話し。
甦る前世の記憶、霊魂の存在、UFO、民間伝承に潜む驚くべき事実の数々…。読む者を怪異と幻想の世界へ誘う現代版「百物語」。
天才剣士柳生十兵衛三厳は、将軍家光の信頼篤い小姓でありながら、朋輩との喧嘩の果てに、不意の飛刃に右眼を奪われる。一介の浪人となった若者は甲州へ向うが、凄じい闇の力の待ち伏せにあう。隻眼偉躯を堂々と曝して、非情の罠、殺到する暗殺団と闘い抜く十兵衛の、一身をかけた「秘命」を描く、時代長編。
現代の日本人が使う箸が、古代中国では、食物をつまむ道具であると同時に、食物のある場に神を降ろすためのハシゴであったにちがいない、と気づいた時の驚き。神聖なハシゴであるなら、横におくものではなく、立てる形が正式であろう…。想像を進めてゆく楽しみを、熱く、面白く語る、魅力溢れる随筆集。
『神戸製鋼の暴れん坊・大八木淳史』20年の熱いドラマ。
印象派の桃色の霧の奥にみえかくれするデカダンスの黒い影ー鋭い切り口で従来のドビュッシー観を斬新にくつがえす。
「トリマルキオの饗宴」とは古代風刺小説の金字塔といわれる『サチュリコン』の一部であり、作者は、ネロの背徳の指南番というべき通人ペトロニウスとされている。この時代、ローマは平和と繁栄の只中にあり、市民は拝金主義、逸楽、飽食に浸っていた。「トリマルキオ」はこの時代精神を最も良く体現する作品である。本書は厖大な文献、考古・美術資料、諸研究を駆使して、社会、生活、文化を再構築する、刺激的なテキスト解読の試みである。
たとえば、親の話し方ひとつで、子どものしぼんでいた心がふくらみ、聞き方ひとつでやる気が生まれるー今まで気づかなかったちょっとした心づかいが子どもをすばらしく変えることを、本書はたくさんの具体例をあげながら教えてくれる。
冬はマイナス60度にもなる南極大陸を中心に、全種類が南半球にだけ生息する鳥・ペンギン。翼をフリッパーに変え、立って歩く姿はどことなくユーモラスだが、苛酷な自然環境に囲まれているため、彼らの生態はほかの鳥類とくらべ独特で、いまだ謎の部分も多い。南極の短い夏、恋に燃え、子育に励むペンギンたちのユニークな暮らしぶりを紹介します。