昭和十九年、福岡県知事の屋敷に奉公にきた千恵子。華やかな博多の街、美しい令嬢・和江との友情、そして初めての恋。しかし戦争の足音は、千恵子のすぐ背後に迫っていた…千恵子の波乱に満ちた人生を縦糸として、激動の時代にそれぞれの愛を貫き通した五人の女たちが織りなす恋模様。戦前・戦中・戦後の日本で、恋に命をかけた女たちを描く純愛官能ロマン。第五回R-18文学賞大賞受賞『花宵道中』の宮木あや子最新作。
「純喫茶トルンカ」は美味しい珈琲が自慢のレトロな喫茶店。東京の下町にひっそり佇む店には、魔法をかけられたようなゆっくりとした時間が流れ、高校生の看板娘・立花雫の元気な声が響く。ある日バイトの修一と雫が店に出ていると、女性客が来店。突然「あなたと前世で恋人同士だったんです」と修一に語りだし…。孤独や悲しみを抱えた人々の心がやわらかくドリップされていく…。ほろ苦くも心あたたまる物語。
ファッション誌の編集者を夢見る校閲部の河野悦子。恋に落ちたアフロヘアーのイケメンモデル(兼作家)と出かけた軽井沢で、ある作家の家に招かれて…。そして社会人3年目、ついに憧れの雑誌の編集部に異動!?
人里離れた山中の別荘で、私は最愛の妻・由伊とふたりで過ごしていた。妖精のように可憐で、愛らしかった由伊。しかし今はもう、私が話しかけても由伊は返事をしない。物云わぬ妻の身体を前にして、私はひたすらに待ちつづけている。由伊の祝福された身体に起こる奇跡ー由伊の「再生」を(「再生」)。繊細で美しい七つの物語。怪奇と幻想をこよなく愛する著者が一編一編、魂をこめて綴った珠玉の作品集。
パワースポット巡り、縁結びのお願い、大好きな武将や仏像に会いに…あなたの好みにあわせた、おすすめコースを紹介。見方がわかる、ルーツがわかる。だから御朱引集めがますます楽しい。御朱印のいただきかたから、お寺や神社でのマナーまできちんとレクチャー。はじめての人でも安心。
職場にキレて偽装妊娠。第36回太宰治賞受賞。
小説「失踪」の構想をねりつつ私娼街玉の井へ調査を兼ねて通っていた大江匡は、娼婦お雪となじむ。彼女の姿に江戸の名残りを感じながら。-二人の交情と別離を随筆風に展開し、その中に滅びゆく東京の風俗への愛着と四季の推移とを、詩人としての資質を十分に発揮して描いた作品。日華事変勃発直前の重苦しい世相への批判や辛辣な諷刺も卓抜で、荷風の復活を決定づけた名作。
揺るぎ無いはずの「日常」が乱れる時、人の心の奥に潜む「闇」と直面する。精神の内からわき出る「妖怪」という名の怪異。他人の視線を以上に畏れる者。煙に格別の執着心を持つ火消し。笑うことができない峻厳なる女教師。海に強い嫌悪感を抱く私小説家。人が出会う「恐怖」の形を多様に描き出す十の怪異譚。
容姿も、仕事も、家族も、生い立ちも、社会における立ち位置もバラバラの5人の女。彼女らの共通項は、35歳。夫あり。そして男性アイドルユニット「スノーホワイツ」の熱狂的ファンであること。彼女たちの愛は、夫ではなくステージで輝く若く美しい「恋人」に遍く注がれる。哀れでも、歪んでいても、これはまぎれも無く、恋。だからこんなに愛おしいー。“最凶恋愛小説”。
お金はたくさんあれば幸せ?物価、キャッシュレス、景気、銀行、税金、保険、投資…自分らしいお金の稼ぎ方、使い方、生き方を見つけよう!
こぶとりじいさんのこぶが…おお?耳なし芳一って…よくがんばった!金太郎に隠された謎…なるほど!斬新なアイデアで、昔ばなしを塗り替える!シリーズ史上、最大マックスな謎解き。
天使へと解体される少女に、独白する書家の屍に、絵画を写す園に溺れゆく男たちに垣間見える風景への畏怖、至上の美。生者と死者、残酷と無垢、喪失と郷愁、日常と異界が瞬時に入れ替わる。-綺の字は優美なさま、巧みな言葉を指し、譚の字は語られし物を意味する。本書収録の十五篇は、小説技巧を極限まで磨き上げた孤高の職人による、まさに綺譚であり、小説の精髄である。
議員秘書が語る総裁選の裏に隠された秘密、若くして財閥を継承した御曹司の苦悩、高名な大馬主が競馬場で出会った謎の老人、アメリカ人の元大佐が語る“もうひとつの退役”-各界の名士が集う秘密サロン「沙高樓」で、私はまたしても彼らの数奇な運命に耳を傾けることになった…。驚愕と戦慄!玲瓏たる筆致で描かれた浅田次郎版百物語。