あらゆるものを活かしながら生命の燃焼を基本とする密教。その代表的シンボルであるマンダラを再考することは、日常のさまざまな場面に潜む密教世界との遭遇をもたらす。本書では、思想的、実践的、そして芸術的な視点から、密教へのアプローチをはかり、心の自由が希薄な現代に、将来的な方向性を示していく。
ブナの林の緑色がきれいだった。所々に、白樺の木があり、緑色の林の中で、白く光っているようにみえた。空気がすんでいるし、林が日ざしをさえぎっているので、すずしかった。こんなすばらしい所はないかもしれない。けれども、ゆうすけは、(ぜったいぜったいにげだしてやる)と、心でつぶやいていた。小学校中学年から。
遠く石鎚山を望み、伊予の街を歩く。畦地梅太郎は、久方振りに故郷の地を廻った。変わりつつある街の風景の中に、味わい深い風物と人の姿を見出し、故郷への愛を確信する。『山の眼玉』『山の出べそ』に続く、滋味溢れる異色の画文集。
介護に教科書はない。だからこそ、わが家流、わたし流介護法を創り出す。そのためのヒントと情報を提示し、実践への強力後押しになるのが本書。介護は待ったなし。先手を打ち、安心を得るための必読書。
象形文字である漢字は、中国古代人の目に映る「世界」の象徴的表現であった。『字統』において詳説された漢字の意味を、本書は系統的・問題史的に語ってゆく。博識と明快な論理で、単なる字形の解釈を越え、ことばの始原に行きつく、無類の「ことば」「ことがら」典。
学界の第一人者である著者による『刑事手続法』の決定版。学説の発展状況と詳細な判例分析とともに立法経緯・刑事司法の実態もおりこまれた刑事訴訟法を学ぶすべての人の必読書。
インドの風土の中で、釈尊が如何に生き、如何に悩み、如何に悟りを開いたか。そのすべてがここにある。
世阿弥以来、多くの先達が一曲一曲の型附や、あるいは一子相伝として文字や言葉を使って、曲のイメージや約束ごとを伝えてきた。この写真集は視覚を通してその曲その曲の面、装束、型、そして風を、総合的に後世に伝える新しいかたちの「伝書」となるであろう。
ある老夫婦の家にやってきた桃から生まれた「ももぺ」は「もへ」が口癖の、ノン気な桃太郎。オニ退治にも行かず、その「脱力力」でライバル・モモジロウをはじめとする仲間たちを日々翻弄…。そんなももぺの「ぽけら」ぶりがほっこり楽しいイラスト・ストーリー。
人々は“霊場”に何を求めたのか。霊場の持つ不思議な雰囲気に惹かれた宗教学者が、延暦寺、四天王寺、元興寺から恐山までを探訪。中尊寺金色堂のミイラや、立石寺の頭部のない人骨など、霊場が今も持つ多くの謎に迫る。
鉄道部門を中心に、開業から釣掛電車が第一線から退いた2002(平成14)年までの動きについて記述。
ダンサーくずれの敏子とヒモ暮らしの一生が引き起こした11歳の少女をめぐるちんけな誘拐事件。そこに大薮春彦かぶれのいかれたやくざとなぜか普通のサラリーマンのおじさんが加わって…。嵐の山路で、ダメなやつらのノンストップのカーチェイスが始まった。流血あり、反吐あり、笑いあり、涙なし。疾走感溢れる、痛快ジェットコースター活劇。