恋愛詩の清艶、飲酒詩の飄逸、追懐詩の哀切、諷刺詩の辛竦…サッフォーからヘレニズム期詩人まで、古のヘラスの苑生に咲いた詞華の数々を玲瓏たる和語の器に移した類のないアンソロジー。収録総数209篇。詩人略伝を付す。
戦後日本には「貧困」があった。地の底の炭坑では人間が石炭を掘っていたー石炭から石油へのエネルギー転換の時代を背景に、日本資本主義を最底辺で支えた筑豊の中小炭坑の悲惨な実態を暴いた。1960年8月初版の本書は、怠惰と飽食の時代を痛撃しつづける戦後ルポルタージュの古典である。
先進の地ヨーロッパに対する「はるかなる思い」は、今や昔話となりつつある。しかし、ヨーロッパを身近に知れば知るほど、そこでは古くからの伝統や宗教的な心が生き続けていることがわかってくる。ゲルマンの昔より伝わる泉の精、風の神の物語、農村や山村に今も息づく民俗の世界を旅し、ヨーロッパ人の心の深層に近づいてみよう。そこから彼らへの新しい理解が生まれるとともに、人間として我々との間に共有しているものも明らかになるであろう。
北米の大自然の中で、どこにでもいる冒険好きの少年が出会った小さな生き物。だんだら模様のしっぽを持ち2つのビーズ玉のような目をしたそのちっぽけなあらいぐまの赤んぼうは、ラスカル(やんちゃ坊主)と名づけられた…-という話で始まる、この少年とあらいぐまの愛と友情の物語は、世界各国の全ての年令層の人々に愛読されたが、この度、新たなる注釈も加え更に魅力を増して再登場した。
過激にして愛嬌あり、滑稽にして哀感また深し、絶妙の筆で綴られた幼時の思い出、知友の回想、世態人情の機微…。英国エッセイ文学の最高峰、「天下無類の書物」(林達夫)の新訳決定版。
ママに置き去りにされた康平は、ひとりで生きていかなければならなくなった。自活するために募金箱をかかえて、街角に立つことにした。「恵まれない子どもが『恵まれない子どもたちに、愛の手を』といって、なにが悪いんや。」せつなくも、心があったまるハートフル・ストーリー。
かけ軸に描かれたマリアさまの肖像画-やさしいほほえみをたたえた、その不思議な魅力に、典子の好奇心はいっぱいにふくらんで-絵画の謎を追って、西へ向かう。異国情緒ただようロマンの旅、ミステリー・ツアーへようこそ。小学上級から。
明治中期、日本の山々をこよなく愛し、精力的に踏破した英人牧師ウェストン。山村の風俗を、ひらけゆく日本アルプスの姿を、記録にとどめて広く海外に紹介し、宗教的登山一色の山に、近代アルピニズムの新たなうねりを巻き起こした古典。
時代劇や小説がもっと面白くなる。TVのそばにこの1冊。