形而上学、神学、自然学の知を総動員して展開される神論、宇宙論、キリスト論、ブルーノ、パスカル、ライプニッツ、ヘーゲルらの思考を準備したルネサンス普遍人の主著が甦った。積年の推敲を経た新訳決定版。
日常的な飢え、虐げられる女や老人、掠奪やもの乞いの生涯、山や海辺の窮民…ここに集められた「残酷」な物語は、かつての日本のありふれた光景の記録、ついこの間まで、長く貧しさの底を生き継いできた人々の様々な肖像である。
明治中期、日本の山々をこよなく愛し、精力的に踏破した英人牧師ウェストン。山村の風俗を、ひらけゆく日本アルプスの姿を、記録にとどめて広く海外に紹介し、宗教的登山一色の山に、近代アルピニズムの新たなうねりを巻き起こした古典。
20世紀歴史学の流れを方向づけたフランス「アナール」学派の創始者が、歴史をその全体性において、深層からとらえなおす「生きた歴史学」を熱のこもった語り口で呼びかける、歴史学入門の古典。
幻覚剤メスカリンが、かつての幻視者、芸術家たちの経験を蘇らせる。知覚の可能性の探究を通してハクスリーが芸術を、文明の未来を語り、以後のさまざまなニューエイジ運動の火つけ役ともなった名エッセイ。
歓喜と絶望を、そして呪縛からの解放を歌うーブレイク初期の傑作三詩集を収録。
親鸞の思想が最後に到達した地点とは何か(吉本)、親鸞とドストエフスキイに通底する思想のありかたとは(桶谷)、煩悩を肯定的にとらえる水俣の言葉と宗教の奥底(石牟礼)、三様の視角から平易に語られる親鸞と仏教思想の核心。
歴史を生きた全体として捉える、という困難な課題をあえて課すことから、歴史学の新たな問いかけが始まる。フランスの「アナール」学派を起点に、現代を生きる歴史家の営みを語り、新しい歴史の地平を望む、迫力ある論考集。
仕事場で、学校で、公園で、人びとが幾度も唱えた毛主席の言葉、言葉、言葉。天安門広場をうめつくす紅衛兵が手にしていた、あの赤い冊子はなんだったのか。世界を揺るがした「文化大革命」とは、いったい、なんだったのか。
世界ではじめて出版された、子供のための「絵本」「絵入りの教科書」。17世紀当時の世界観に基づくさまざまな事物を素朴な木版画とやさしい文章でときあかす。教育史・思想史における不朽の古典。
無意識の力は芸術的創造とどのように関わっているのだろうか?フロイトと並ぶ20世紀の知的巨人が平易に説く心のダイナミズムと不思議な働き。分析心理学入門としても好適な得がたい論文集。改訳の上、新稿1作と年譜を付す。
コンピュータゲームの世界と一体化した中央官庁に働く職員、自我の目覚めを経験して苦悩する倉庫、夢の中で生活する学生、死の意味をめぐって怪談を続ける子供たち…。この時代に存在するものすべてを哲学的幻想で包み込み、意識のまどろみの中で変身話から東洋の宗教思想まで味わいつくす作品をつぎつぎと生み出すロシア新世代の作家ヴィクトル・ペレーヴィン。20世紀の終りに現われた異才の浮遊する世界。
立山の東、谷のどん底に青く輝く淵ー黒部渓谷を歩き続けて四十数年。自称“谷狂”が手で巌を引っかき、そして綴った、大正〜昭和初期にいたる、初めての黒部本流核心部の記録。
オリエントに暮らす諸民族の、長寿と幸福への願いから生まれたアラビア医学。歴代の名医や、あっと驚く治療法のエピソードをちりばめながら、中世イスラム社会の営みと、豊饒な文化を描きだす。