教師は職人であれ。生き生きとしたことばの学び手を育てるためには、国語教師は授業をつくる職人でなければならない。真の授業を創造するためのこころと技を解き明かす。
かつて万人恐怖の病であったハンセン氏病に冒され、二十四年の短い生涯を癩院で終えた天才作家北条民雄。川端康成がその才能に感動し、雑誌に発表、文学界賞を受賞した「いのちの初夜」をはじめ、世を震憾驚倒せしめた小説九篇、小品・童話、未発表原稿、覚え書、年譜などを収録。
かつて万人恐怖の病であったハンセン氏病に冒され、癩院でその二十四年の短い生涯を終えた天才作家北条民雄の全集完全文庫化。いのちの極限から魂の内奥を赤裸々に吐露する随筆、感想、日記、書簡(師と仰ぐ川端康成との往復書簡・計九十通をはじめ、中村光夫宛など)および、友人らによる追悼記を収録。
水仙・椿・薔薇・コスモス…「龍彦の国=ドラコニア」に咲く25の花々を描いた、生涯の最期を飾る優美にして閑雅な博物誌、東西の植物画75点をオールカラーで収録。
さまざまな特徴をもつ日本民族はどこからきて、どのように形成されてきたか。その謎を、人類進化の壮大なドラマの中で、ごく普通の集団として生れたことを追求。人種偏見や差別がいかに根拠のないものかを浮彫りにする。
中は真っ暗だった。けれど、入ってしまうと眼が慣れてきて、窓からの外光だけで、何とか中の様子がつかめた。年代物のほこりっぽさと、鎮まっていた空気の粒子が一斉にこちらを振り向いたような気配があった。歩くと、ぎーぎーと、床がきしんだ音をたてた。その音が人気のないホールにこだまして、何かがこぞってこちらに注目している感じがした。誰もいないはずなのに、何かがぎっしり詰まっている、濃密な気配を感じる。照美は、自分の一挙手一投足が、息を凝らしている何かに見つめられているような気がした。第1回児童文学ファンタジー大賞受賞作。
中国人のこころの諸相を捉えた「狂字論」「真字論」、古代人の生活誌ともいうべき「火と水の民俗学」など、広大にして豊饒な漢字の世界に遊びつつ中国の歴史の深処にせまる、白川文字学の精華。
宗教改革と対抗宗教改革ー教会は未曾有の危機と革新の局面を迎える。この時代にはまたキリスト教と日本が出会った。オスマン帝国下での正教会の動向と併せて、17世紀初頭までの激動の歴史が描かれる。
川岸にて釣り糸を垂れる、あの気分を描き、われわれを水辺に誘う、時を超えて読み継がれてきた、釣りの悦楽を説く釣り師の聖典。二部・三部を含む、著者最終改訂版(第五版、1676年)からの初めての完訳版。