池波正太郎のエッセイにはー男の本音がある、人生がある、生きる楽しみを享受する男のリズムがある。作家への道を拓いた幼き日の観劇の一日、手と躰で物を造る感覚を養った旋盤工時代、行きづまった小説の結末を見いだしてくれた飼い猫ネネの話、映画のこと、衣食住について、現代人の見失ったもの、仕事の裏ばなしなど。手練の切れ味を見せる“とっておきの51話”。
一つの事実の背後には、数多くの意外な面が隠されている。取材の過程でぶつかり、作品には表われなかったさまざまな思いがけないエピソードを、改めて紹介する。同時に、いかにして作家が素材を見つけ、資料を探し、取材をし、対象に肉迫して作品を完成させてゆくかをうかがわせる、興味深い好エッセイ集。
母が死んだ。「静子さんは、太宰さんのところにいったのよ」何人かの方が、ひとりになった私を励まして下さった。…大手術もむなしく、この世を去った母への痛哭の思いを中心に、母子2人きりで過ごした少女時代の想い出、初めて体験する一人暮らしの寂しさととまどい、結婚への憧れ、そして母から聞かされていた父への思慕を、のびやかな文章で綴る。ういういしい純な魂が奏でる父母へのレクイエム。
「いい道具」とはなにか?文房具の魅力に取りつかれた著者が、手に入れ、試してみたモノを、知性と感性で分析する文房具真髄読本!
フリーの音楽評論家が、何を血迷ったか百万円以上もするパソコンを買い込んだ。キーといえば電卓のそれぐらいしか叩いたことがなく、目覚ましの説明書さえ読み間違える昭和ヒトケタ世代。その著者が、今や高級機を駆使し、企業にアドバイスし、専門誌にまで登場するパソコン人間に変貌した。一体、何が起こったのか!
データの採取、分類、整理をはじめ、記録、通信、あるいは時間管理などを強力にバックアップする文房具のいろいろを紹介し、知的生産の効率化のためにどう活用したらよいかを解説する。アイディアいっぱいの新製品から、誰もが欲しくなる世界の名品までを網羅。豊かな書斎生活を演出するための1冊。
日頃何げなく使っている文房具の表情を、軽妙な語り口で活写した楽しい文具談議。あわせて、食いしん坊を自認する著者が、全国各地の味覚を訪ねた「百味雑記」を収載。
諸家の万年筆に対する雑感と興味と経験と現時に於ける万年筆の勢力と各種の万年筆の特徴と便益と各種の趣味あるペン描きの挿画と。
蛸を使って伊勢海老を捕る奇漁『海老ふせ漁』から肉体を極限まで酷使する『木馬師』まで。最後の職人が伝統の技術を誇る『男の世界』の集大成。
情報化社会を楽しく生きるコツは、できるだけ多くの話題を持つことである。そこで本書では、歴史のマル秘エピソードから最新若者用語まで、思わず誰かにしゃべりたくなるようなおもしろ・ウンチク知識を網羅、そのうえわずか2行でネタの要点がわかるという画期的な書である。
資源の乏しい日本にとって、日本が成り立ち条件は人一倍働くか、人一倍知恵を出すしかない。日本経済の成功を縁の下から支えてきた、企業のダイナミックな技術開発活動を、テクノマネジメントの立場から自分史的視点で述べる。