「お宅のお子様を預かっています。元気です」娘の舞子を誘拐され、絶望の日々を送る高尾加代子に、思いもかけぬ朗報。しかし、その子の父が誰か判然としない彼女の気持ちは晴れない。そこへ女の声で衝撃的な電話が!化野に住む美しい夫人の不倫の愛と悲劇。さらに子供をめぐる連続殺人で、加代子に捜査の手が迫る…。
京都は歴史の町である。3百年の老舗というのも決して珍らしくない。その一つ、西陣の富川という繊維問題には、朝子、夕子の評判の美人姉妹がいた。その朝子が、葵祭の斎王代に決まった。葵祭の女王であるその年の斎王代に選ばれることは、京都の女性にとって、最高の名誉である。だが、祭当日、朝子は謎の怪死を遂げた。しかも妊娠4ケ月で。怖ろしい連続殺人事件の幕開けであるー。華やかな京都を舞台に、本格トリックの女王が描く、古都ロマン・ミステリーの傑作。
破綻した夫婦関係を解消すべく京都に“離婚旅行”にやって来た人気女優沖田カオルと映画監督の藤田雅也。そのカオルの付人亜美がバラのトゲに塗られた毒物で死んだ。続いて起きる連続殺人事件。芸能界の裏に錯綜する複雑な人間関係が捜査の進展をはばむ。ご存じ京都府警・橋口警部補とその恋人リカが大活躍。
鏡の向こう側の不思議な世界でアリスは、奇妙な者たちに出会う。カラー口絵が豊富に入った愛蔵本。
雨ニモマケズ、風ニモマケズ、素晴ラシキ建物ヲ求メテ我等ハ行ク。東京駅・目黒雅叙園・松本関智学校・築地本願寺・東京拘置所・上海サッスーン邸・大浦天主堂・三田演説館・万平ホテル・那須の別荘群…。建築学者のペンと建築写真家のカメラは、海を越え、空を飛び、建築と人の物語を探し出す。カラー写真満載。
独身実業家沖邦彦の花嫁公募に殺到した若い女性の群れから最後に4人が選ばれた。平凡なOLの中山美佳もそのうちのひとりである。4人は沖と京都へ旅する。第1夜に美佳は沖と結ばれ、幸せにひたるが、他の花嫁候補の身に惨事が起きていた。そしてまた、次の犠牲者が…。華麗トリックをちりばめた秀作集。
新年早々、京都二年坂で、首と手首のない男の死体が発見された。京都府警の橋口と検視官・江夏冬子は、死体の足の爪に付着していた嵯峨菊をヒントに、大覚寺の庭から切断された小指をみつける。一方、府警には、行方不明になっている夫、兄、父ではないかと、三人の女性からの問い合せが相ついだ。結局、指紋から大和田ユリの父親と確認されたが、事件は意外な展開をみせ始める…。本格長篇ミステリー。
親友ユミの結婚式に出席したのが縁で麻矢はユミの義兄杉原太郎と結ばれる。豪華な挙式、京都に一泊して外国へのハネムーン。麻矢は幸せだった。ところが初夜が明けると、太郎がベッドで毒死していた。初めに疑われた麻失だが、嫌疑が晴れると、再婚の太郎が過去に持った女性関係を自ら追及する…。愛をテーマにした、本格長編推理。
時間が意識されるようになったのはいつごろか、相対論、量子論、宇宙論など現代物理学は時間をどうとらえているか、時間が後もどりしないのはなぜか、時間についてまだ解明されていない謎としてどんなものがあるか、そして時間とは何か?時間の不思議を説き明かす。
豪華絢爛たる西陣織の老舗の当主小林総佐衛門。その周囲で連続殺人事件が次々と起こる。久々に来日したキャサリンは大張り切り。小林家の複雑な人間関係に迫るうちに、意外な事実をつきとめる。茶室内での密室トリックを解くかぎはー。古都・京都の美しさのなかにくりひろげられる本格ミステリーの傑作。
大文字で賑わう京都の夜を、夫の陽介と歩きながら、野上美也子は幸福で一杯だった。見合い結婚して半年、夫婦の愛情も深まり、陽介が休暇をとって、2人は東京から京都にやって来た。だが夫がいなくなり、花見小路で夫の高校の同窓生が殺される事件が続いて起こった。そして、その現場には夫の定期入れが落ちていた。その後、夫も死体で…。大文字に託された殺人の謎。ミステリー界の女王が放つ、ロマンミステリーの傑作。
京都清水坂の陶器店「桔梗堂」の店主・杉尾万作が絞殺死体で発見され、現場から粉々になった抹茶茶腕が見つかった。府警の検視官・江夏冬子と狩夫警部らの調べで杉尾家の複雑な家庭が明らかになってきた。長男・三千彦は5年前に失踪したまま。万作の後妻・志保は、甥の西沢昭一と不倫関係にあるという。捜査が難航するなか、桔梗堂のかま場から三千彦の死体が発見された…。長篇本格ミステリー。
1945年、ハルピンでソ連軍に抑留され、1953年に特赦で日本に帰還した著者が、シベリア各地のラーゲリを転々とした体験をもとに執筆した全エッセイを収録。極寒の地での激しい労働、栄養失調、同囚の密告などに耐えて生き続ける人間の姿と、何よりも厳しく自己自身の精神と魂のありようを静かに見つめ続けた希有な記録である。
学生時代から仲の良い京都のOL三人組が、NTT株で儲けたのをきっかけに株を始めた。ところが、証券会社との連絡役を頼んでいた仲間が何者かに殺され、さらに株が暴落した翌日に担当営業マンの一人が謎の自殺。マネーゲームを背景に起こる奇妙な連続殺人…。推理しながら株が分かる財テク・ミステリー。
「悟り」とは一つの神秘体験である。マンダラが描く、その未知なる世界への旅は、どのようにして可能なのだろうか?人間の深層心理には、自己と他者、善と悪などの対立を超える、全体的なものへの志向がひそんでいる。本書はその「全体性」を手がかりに、仏教とユングという異なる二つの思想を比較分析する。健全な自我を持たない「仮面人間」である現代日本人に、自らの内的世界に目覚め、新しい意識を創造することを呼びかける一冊。
四年前、女子大生由紀子の姉が京都の詩仙堂で不倫の相手と心中した。姉は死に、相手の男である若木陽一郎は生き残った。それ以来、人を信じることができなくなっていた由紀子は夏休みを利用して詩仙堂を訪ねるが、そこには意外な事実が隠されていた…。(京都詩仙堂殺人事件)。古都・京都を舞台にした表題作他四編を収録した推理界の女王が贈る傑作推理短編集。