若葉、青葉の萌えたつ色彩ほど美しいものはない。初夏の陽光に煌めく新葉の瑞々しさ、京都の優しい雨に打たれてさえ、かすかに葉を揺らす頼りなげな風情。その若葉が日を追って成長し、青葉を茂らせる季節。楓の新緑の美しさを「青もみじ」と呼んでいる。楓は、新緑と紅葉と二度の美しさを提供してくれると同時に、初夏から晩秋へ季節の移ろいの見事さを告げてくれる。新しい美しさを発見する京都の青もみじ風景。巡る季節を楽しみ、そこに至上の美を見いだす風雅な世界。
全国各地で鉄道が整備され、観光ブームが沸き起こった昭和初期。各鉄道会社は横長蛇腹折り畳みスタイルの“沿線案内”を刊行した。吉田初三郎や金子常光など人気絵師の手によるものもあれば、無名の絵師たちが描いたものもある。その多くは鳥の目で空から下界を眺めた絵図であり、まさに鉄道パノラマ地図であった。沿線ごとに紹介するパノラマの世界を紙上に再現。
「琉球・沖縄」の表象と多様性、「琉球処分」や「日本復帰」を結び目とする歴史、そしてそこから私たちは何を学ぶことができるのかー4つの視点から沖縄学の蓄積を検証しつつ、沖縄が直面する現実の課題に多面的に挑む。はじめて学ぶ「沖縄学」テキスト。
村落を守る馬頭観音像、念仏踊りが変形した盆踊り、もとは先祖霊だった節分の鬼、詣り墓から発生した仏檀ー。村落社会の団結と幸福を願う人々の祈りが仏教を受け入れ、迷信や年中行事、芸能等を生み出した。庶民信仰によって変容した日本固有の仏教を追い求め、背後にある日本人の原型を見出す独自な視点。提唱者である五来重が、仏教民俗学の多様な世界についてわかりやすく、その魅力と面白さを語る。
一度は訪ねたい世界遺産、伝統の町並みと文化、太古のロマンに触れる古道、大自然に包まれた郊外探索。楽しみいっぱいの厳選エリア紹介。
太物問屋の小泉屋に押し込みが入った。番頭と手代は、どす黒い血に染まっていた。岡っ引き銀次と昵懇の剣客・向井藤三郎は、刀傷から、必殺剣の脇霞を遣う古賀弥九郎が下手人と睨んだ。古賀は妻のゆきを斬り殺したという噂がある男だけに臭う。だが、何ゆえ貧しい暮らしを支えた若い妻を殺したのか?逆袈裟から袈裟へ、その連続技が凄まじく迅い古賀に、銀次のまろほしは一閃するのか。
京都に移り住んで12年、町家に暮らして7年が経ち、見える風景も変わっていった。12カ月を通じ移りゆく京の姿を、五感でとらえられるようになった。京都に降り立つ人に「ああ、来てよかった」と思ってもらえるように、この町をより深く見つめて気づいたことを、丁寧に紡いだ、現代版京都草子。
解析する対象によって、さまざまな手法を用いる統計解析。でも、基礎的な考え方が身についていればより高度なことも必ず理解できます。
1940年から44年にかけて、パリはナチス・ドイツに占領され、ユダヤ人はいつ拘束され強制収容所に送られるかと恐怖のうちに暮らしていました。ユダヤ人だけでなく、ドイツ人以外のすべての人々の自由が制限される中で、ユダヤ人を助けようと危険をおかすような人はほとんどいません。そのような日々に、ユダヤ人をかくまい危険なパリから脱出させるため力をつくした人々がいます。誰だったのでしょう。パリのどこで、そんなことが可能だったのでしょうか。当時も今も聞いた人の誰もが意外に感じ驚くであろう場所、それはーこの本は、これまでほとんど語られることのなかったイスラム教徒のユダヤ人救出活動に光をあて、その勇気と信念、献身を讃えるために書かれました。