半年前、ヴェロニカは結婚式当日に花婿のせいで大怪我をし、婚姻を無効にされたうえ、ごみのように捨てられた。不幸のどん底で脳裏に浮かんだのは、継父のやさしい顔だった。すがる思いで継父の家を訪れた彼女を待っていたのは、「父は半年前に亡くなった」という、息子コールの言葉ー。16歳のころ、ヴェロニカは義兄に熱い想いを寄せていたが、なぜかひどく疎んじられ、いつも冷たくあしらわれていた。時を経て男らしさを増したコールは、まさに大人の男だった。目を奪われているヴェロニカに、彼は蔑みもあわらに言った。「放蕩娘のお帰りか。どうせ父の遺産が目当てなんだろう?」
恋に破れ、傷ついた心を抱えて、デボラはべニスを訪れた。夕闇迫る街を歩き回っているうちに彼女は道に迷い、ふと気づくと不審な男たちに囲まれていた。そのときだった、黒髪のハンサムな男性が颯爽と現れたのは。彼はマシューと名乗り、不審者を蹴散らすと、怯えるデボラを救いだしてくれた。とても裕福そうに見えるけれど、いったい何者なのかしら?だが、その答えは意外な形でもたらされる。ふたりが一緒にいる写真がいきなり新聞の一面を飾ったのだ。彼は巨大製薬会社の社長。そして私は…彼の婚約者ですって!?
ロバートに会える。ソフィーの胸は高鳴った。寄宿学校を卒業した彼女は、列車で故郷へ向かっていた。彼女が4歳のときに父が再婚し、ソフィーには2人の義兄ができた。どちらの兄も優しかったが、とくに長兄のロバートは特別な存在だ。忘れもしない。一昨年、クリスマス休暇で実家へ帰ったとき、ふいに彼にキスをされた。それは初めて味わう大人の口づけだった。ロバートはすぐに身を引いて謝ると、翌朝早く家を出ていった。あれ以来、顔を合わせていない。ところが久しぶりに再会した彼は、まるで別人のように冷淡でよそよそしく、ソフィーは深く傷ついた。さらに、人づてにロバートが婚約したと聞かされて…。
半年前、結婚式当日に事故に巻きこまれ大怪我を負ったヴェロニカは、花婿に婚姻を無効にされたうえ、ごみのように捨てられた。不幸のどん底で脳裏に浮かんだのは、継父ハンクの優しい顔ーすがる思いで継父の暮らす家を訪れたヴェロニカを待っていたのは、父は半年前に亡くなったという、息子コールの言葉だった。16歳の頃、ヴェロニカはコールに熱い思いを寄せていたが、彼は父を煩わせる継妹をひどく疎んじていた。時を経て男らしさを増したコールに心を奪われそうになった瞬間、彼が蔑みもあらわに言い放った。「放蕩娘がついに帰ってきたか。どうせ父の遺産目当てだろう?」
その結婚式はなにもかもが完璧なはずだった。クララは新郎となるザックのため、心をこめてケーキを作った。でも新婦の姿が見あたらない。花嫁は式に出ないと決めたらしい。ザックはクララの上司。そしてひそかに憧れる人。クララは披露宴会場にひとりいる彼のもとに歩み寄った。ところがザックはさほど気落ちはしていなかった。結婚はビジネス上の取り決めにすぎず、新婦への愛はなかったと言う。さらに商談を兼ねたタイへのハネムーンはやめられないから、婚約者の身代わりで、クララに一緒に来てくれないかと誘うのだった。私はお手軽な代役?残酷な言葉に傷つきながらも、クララは迷った。
憲法学者小林節(慶大教授)の闘い!真実の勇気をもって正義の実現をめざす魂の記録。
異国で財を成し、イギリスに帰国したルシアンは、いとこの訃報を知って葬儀に駆けつけ、息をのんだ。面識のなかったいとこのラドウィンター伯爵は、髪の色をのぞけば、まさに彼に生き写し。しかも爵位と財産を継ぐのはルシアンだと告げられたのだ。そのとき、ルシアンは彼を見て涙する美女マリッサに目を奪われる。きっと彼女は亡きいとこを深く愛していたに違いない。ふいにルシアンは儚げなマリッサの涙を拭い去り、笑顔を取り戻させたくなった。たとえ思い出という叶わぬ恋敵と闘うはめになっても。ルシアンは、彼を見るたびに悲しそうなマリッサの姿を目にして、亡き伯爵への嫉妬をおぼえる。しかし彼女は実は誰にも言えない心の傷を抱えていて…。涙を誘う、愛と癒しの物語。