サンフランシスコに住むソフィー・コルトンは、ある夜ナイフを持った暴漢に路地裏で襲われ、顔にも心にも深い傷を負った。静養のため故郷へ戻ってきたものの、母に傷跡の醜さを罵られるつらい毎日が続いた。誰かにすがりつきたい。そんな思いで、ソフィーは初恋の相手リバーのもとへ向かう。だがリバーは以前彼女を拒んだときと同じ、冷たい口調で言った。「きみはしっぽを巻いて帰ってきたんだ」。
マリッサは十九歳。十七歳で親子ほども年の離れた伯爵に嫁ぎ、奥歯を噛みしめて二年あまり冷えきった結婚生活をおくったのち、夫があっけなくこの世を去った。葬儀をすませ、屋敷のなかがにわかに騒然となったのは執事が遠来の客の到着を告げたときだ。ジャマイカから亡き伯爵のいとこが訪ねてきたという。弔問客の応対をしていたマリッサも、そちらの方を向いた。なんと、夫に生き写しではないか。あの人が生きかえったんだわ!マリッサは気絶した。
旅行会社に勤めるヒラリーは、目下三週間の休暇を、自分の不幸を嘆きながら暗い気持ちで過ごしている。伯母が遺してくれたちょっとした財産に目をつけて近づいた男に結婚を申しこまれて有頂天になり、結局はすべてを失ってしまった。小さな村での現在の暮らしは、まるで世捨て人のようだ。親切な村人の厚意で、その人のコテージに住まわせてもらっているが、最近大いに気になることが持ちあがった。コテージのすぐ近くにある屋敷に、レオという男性が住みはじめ、ヒラリーの生活になにかと入りこんでくるのだ。彼女の身の上についてよく知っているのも驚きだった。いったい何者なの?ヒラリーはレオの厚かましさに腹を立てつつ、彼の魅力や優しさに惹かれていく自分に気がついた。
恋に破れ、傷ついた心を抱えて、デボラはベニスを訪れた。ロンドンで、新聞記者として男性と肩を並べて仕事をする彼女だが、失恋の痛みには勝てず、無理矢理休暇をもらってきた。秋のベニスは霧深くてさびしい。夕闇迫るベニスの街を歩きまわっているうちに、道に迷い、不良少年のグループに襲われそうになったところをマシューと名のる男に救われる。正体不明の男だが、彼のジャーナリスト嫌いはものすごい。ただものではなさそうだ。デボラの記者魂が目を覚まし、彼の誘いにのることにしたーもちろん、職業を明かさないまま。
カーラは妹のシャロンが働くギリシアの小島にやってきた。ぶどう畑に覆われた静かな美しい島は、夫の死後、初めての休暇を過ごすカーラの心を慰めてくれるだろう。だがイギリスを発つとき空港で見かけた男性の姿がそんな彼女の胸に影を落としていた。その人はあまりにも似すぎているー私を裏切った不実な夫に。あんな過ちは一度でたくさん、もう二度とあんな人に恋なんて…。ところが翌日、カーラはその男性と思いがけなく再会した。アレコ・トラナカスはさっそく美しいカーラに興味を示している。初めて出会ったときの夫グレッグのように。
五年前、十七歳のとき、結婚の約束をほごにされ、心に癒しきれない深い傷を負ったジェマは、スペインに来て、親友の兄ノエルと共同経営の仕事をすることで、なんとか立ち直りの日々を送っていた。ようやく、もう大丈夫、と思えるようになったある夜、思い出のギター曲の調べが聞こえたかと思うと、勝手に婚約を破棄して去った男ソアがひょっこり現れた。ジェマは親友の兄と深い関係にあると匂わせ、どうにかして再びソアの魔力につかまることから逃れようと、ノエルと一緒に住んでいることを盾に取ったのだが、これが原因で、また、ひどく複雑な事態になろうとは…。
パリで思いがけずある男性と再会し、サフィーは激しく動揺した。彼はリック・プリンス。ハリウッドの有名な脚本家で、サフィーは五年前に一度だけ、彼とベッドをともにした。それはサフィーの美貌の妹ディーの結婚式の夜ーディーに熱い思いを捧げていたリックは恋を失い、サフィーも心に傷を負っていた。一目で意思が通じ合い、言葉もろくに交わさずにベッドへ向かった。朝が来たら別れ、二度と会うことはないとお互い承知のうえで。そのとおりに、サフィーは彼に連絡したい気持ちを抑えた。でもリックはどうだったの?彼はまだディーを愛しているのだろうか。
「きみが大嫌いだ」-心葉にそう告げられてしまった菜乃。その日以来、心葉は本心を見せず、取り繕った笑みで菜乃に接するようになる。そんなのは嫌だ!と夏休み、菜乃はある行動に出るが…。傷心の夏が過ぎ、秋。文化祭に向け賑わう校内で、菜乃はまた新たな出逢いを体験する。不吉な影を背負った少女。彼女に関わる中で、菜乃は彼女の、そして心葉やななせ、皆が様々に心に抱える闇と光を見つめることになる。もうひとつの“文学少女”の物語、第2弾。
「きみが大嫌いだ」心葉にそう告げられてしまった菜乃。その日以来、心葉は本心を見せず、取り繕った笑みで菜乃に接するようになる。そんなのは嫌だ!と、夏休み、菜乃はある行動に出るが…。傷心の夏が過ぎ、秋。文化祭に向け賑わう校内で、菜乃はまた新たな出逢いを体験する。不吉な影を背負った少女。彼女に関わる中で、菜乃は彼女の、そして心葉やななせ、皆が様々に心に抱える闇と光を見つめることになる。もうひとつの“文学少女”の物語、第2弾。DVDにはオリジナルアニメーション『“文学少女”今日のおやつ〜はつ恋〜』と、『劇場版“文学少女”予告映像』を収録。
シングルマザーのフレイアは事故にあい、病院で治療を受けていた。祖母に世話を頼んだものの、幼い娘のことが気がかりだった。看護師から娘が再会に来ていると聞いて安堵したフレイアだったが、娘を抱いて病室に入ってきた男性を見て、凍りつく。ザック・デヴェレルがどうしてここに?ザックはプレイボーイとしてその名を馴せる大富豪の実業家だ。娘の父親ではあるけれど、私たちの関係はとっくに終わっている。妊娠を告げたとたんに、彼は私を捨てたのだから。彼を憎んでるんでしょう?なのになぜ、胸がときめくの?そして恐ろしいことに、ザックの目にも情熱が宿っていた。
恋愛、仕事、家族、友達、自分自身…。だれもが同じように悩みを抱え、挫折に苦しみ、悲しみを見つめ、そこから何かを学んでいく。『失恋のおくすり』に続くシリーズ第2弾。立ち直りのための具体的な実践法「癒しのレシピ」も収録。
歌人・船坂圭之介による第一歌集『風韻無限』に続く、昭和57年から昭和58年までの短歌を収めた最新歌集。
53歳離れた養父ソアと駆け落ちしたクレスラは有名人の母から夫を奪った娘として自叙伝を依頼される。ゴーストライターを頼まれたホーギーはクレスラを取材するうち、彼女の心の闇に気づく。スキャンダルや中傷が飛びかうなか、ソアが惨殺された。ホーギーの推理が始まる。MWA賞受賞の人気推理シリーズ。