“越境”する人びとの社会経済史ー日本近代史の中で、「出移民」の属性・背景・目的・経緯や政策、それを推進した地域社会や団体組織、出ていった人びとの本国・郷里との関係を、出稼ぎ労働型、旧中間層再生・飛躍型、「企業家」志向型というタイプに区分して検討。
古代東北のすべての城柵について詳細な再検討を加え、造営に至る背景や行政府・軍事拠点としての機能が在地社会との関係性においてどのように変容したかを追究。国家側の意図と地域支配の実相に迫る。
西日本における広域卸売企業であった株式会社サンビックが流通経営史上にもたらした意義を経営史的に明らかにする。成立過程、西日本の広域卸売企業への発展、全国的卸売企業にまで進展していく過程を多面的に検証していく。
ことばの地域差や地理的変異は、なぜ、どのように成立するのか。ある方言を他の方言から独立した絶対的な存在であるとみなす方言学に対し、方言はあくまでも連続的な様相を示す相対的な存在であると考える、「方言地理学」。故・佐藤亮一氏が開拓・提案した方言地理学の理論から、資料の生かし方、記述方言学との融合、文化・社会と方言との関係までを、隣接する民俗学や地理学などにも資する最新の成果を結集し体系的に紹介。次世代へとつづく方言地理学の視界を照らし、ひとつの道しるべとなる一冊。
本書は、理論的現実的な問題意識を根底におきながら、都道府県・市町村といった地方自治体の範域を単位にして、地域的不均等、地域的差異を内包する地域社会のマクロな全体構造の変化を明らかにしようとするものである。
本書は、近世において見られた「勧進・勧化」活動を通し、前記視点を踏まえて「近世仏教」を再考してみたいという意図の基に構成したものである。
前書『藩地域の構造と変容』(渡辺編、2005年刊、岩田書院)に続き、信濃国松代藩地域をフィールドにして、地域社会論と藩権力論の総合化を目指した共同研究の成果。本書では、核心的テーマとして「政策主体と藩政」を掲げ、藩権力側の認識や政策意図・構想などを、その内部に分け入ってクリアに認識することを目指し、諸政策の立案から実施までを担った人々を「政策主体」と捉えて、その集中的・総合的究明の必要性を提起。これら「政策主体」の意識・思想を、藩権力と領民との関係に密接に関わる諸政策への取組みから解明することで、藩権力内部の諸事情を精確に描き出すとともに、政策の立案・決定から実施にいたる過程を、動態的に把握する。