山奥に武家屋敷さながらの旧家を構える会社社長が、まさに蟻の這い出る隙もないような鉄壁の密室の中で急死した。その被害者を取り巻く実に多彩な人間たち。事件の渦中に巻き込まれた計理事務所所員の主人公は、果たして無事、真相に辿り着くことができるだろうか。本書は、不可能状況下で起こった事件を、悠揚迫らざる筆致で描破した才人天藤真の、記念すべき長編デビュー作。
地方都市を牛耳る事業王吉川太平に殺人予告が届く。その陰謀を偶然耳にした青年は容疑者を追うが、逆に襲われ殺されてしまう。彼のガールフレンド三村早苗は、太平の押しかけ秘書となって真犯人追及に乗り出すが…。非情ともいえる独裁者吉川の家庭内の人間関係は複雑に絡み合い、殺人予告が引き金となったかのように惨劇が相次ぐ。二転三転する犯人像、はたしてその真相は。
本当の自分って何だろう?自分が自分だと思いこんでいる自分と他人の目に映る自分との間には実は大きなズレがある。恋愛でも、仕事でも、人間関係でも自分で思うように進展しないのはそのためだ。あなたはこの本の質問に一つ一つの答えることによって自分でも思いがけない本当の自分が浮かび上がってきて、きっとびっくりすることだろう。
心を削る働き方から、自信が育つ働き方へ。東大卒、企業のM&Aやベンチャーキャピタリストを経験した著者が500人以上のコーチをして気づいた“自信”の大切さ。封印していた“感情”を呼び覚まして、自分らしく働く道を見つけよう。
診察で何を聞かれるか?カネは高いのか?クスリは効くのか?コワい、アブナい、戻ってこれない、そんなイメージを根こそぎくつがえす爆笑精神科通院日記。
あなたの周りの人、家庭、行動を見つめれば、心が少しラクになる。
現れては消える数々の疑似科学。私たちは、科学の仮面をかぶったニセ物をどう見きわめ、いかにつきあっていけばいいのだろう。本書では、疑似科学の問題点や科学と疑似科学をめぐる考え方を整理するだけではなく、疑似科学を信じてしまう傾向を、「ニセ物なのに信頼のおける科学だと思い込む誤信念」ととらえ、その核心に迫る。宏観異常現象による地震予知や血液型性格学をはじめとして、疑似科学に共通してあらわれる特性を鋭くついた決定的な入門書。
「目立ちたくない」「買ってるときは、楽しいの」「悪いのは、あたしじゃないのに」-。うつ病・不安神経症・過食・拒食・依存症など、ふとしたことから、心の病いにかかった「普通の人々」を描き、著者が自身の体験をもって、励まし語りかけるコミック・エッセイ。「決して自分だけじゃないんだ」と、読んで心がふーっと軽くなる本。
東北の港町に生きる人々の姿を通して描く、再生の物語全9編。3年前の秋、早坂希は勤めていた東京の会社を辞めて仙河海市に戻ってきた。病弱な母親の代わりに、スナック「リオ」を切り盛りしている。過去に陸上選手として活躍していた希は、走ることで日々の鬱憤や悩みを解消していたが、ある日大きな震災が起きて、いつも見る街並みが180度変わってしまう。(「リアスのランナー」「希望のランナー」)。高校生の翔平は、津波により両親と家を奪われ、妹の瑞希とともに仮設住宅で暮らしていた。震災の影響で心が荒む翔平だったが、瑞希の提案で「ラッツォク」を焚くことになり、あの日以降止まっていた“時”と向き合う。(「ラッツォクの灯」)。東北に生まれ東北に暮らす直木賞作家の、「あの日」を描かない連作短編集。
多様な質問が仕組まれ、ルーマン一流の複雑性を携えて返答するインタビュー集「アルキメデスと私たち」、ルーマン理論の重要なエッセンスを語った講演「構成としての認識」、退官記念講演「なにが扱われているのか?その背後になにが隠されているのか?」を収録。
新居購入の資金不足ゆえ結婚に踏み切れないみどりと修三。そんな折り修三の後輩弥太郎から奇妙な依頼が。危篤の父親を安心させるため数日間にせの嫁を演じてくれないか、もちろんお礼も弾むから。相談の末、修三を親戚の者として、にせ花嫁に扮したみどりと弥太郎は病床の父親が待つ郷里の村へと向かったが…。著者の創作過程が窺える未定稿200枚を巻末に収録してお届けする。
阪神大震災とは、この国のシステムが崩壊する現場でもあった。日本の地震学の成立からボランティア、人の安全保障まで、災害の真実の形姿をここに記録する。
和泉国日根野荘を舞台に繰り広げられた農山村の日常を、克明に描く。支配権をめぐる争奪・苛酷な年貢の徴収・餓死・窃盗・逐電・逃散・祭・神楽などの実態を、前関白九条政基の日記から探る。
若い時に悩みはつきものだと言われる。しかし重要なことは、自分がぶつかっている問題の意味を正しく受け止めることだ。悩むには悩み方があるのだ。本書は性格、人間関係、社会、仕事、恋愛等14の人生の基本問題をテーマに、若い時の悩みと正しく向き合うための方法論を学び、自信をもって輝いて生きるヒントを示唆した、若者のための生き方ガイドである。
人類は何をするかわからない。人間社会に被害があったら困るものだから地震についても調べているらしいが、地震のメカニズムを解明するだけではなくて、あわよくば、地震の制御や大地震の人工的な分散までも考えかねまい。こういった自然の制御は、生きている地球にとっては息の根を止められかねない重大な事態なのだ。かくて地球は、ニセのシッポをつぎづきに繰り出すばかりではなくて、地震の妖怪や火山の妖怪はもちろん、すべての妖怪をそそのかして、地球物理学者に正体を暴かれまいと、悪あがきをすることになった。本書は「妖怪」と「騙し」だらけの観がある。それは「さまざまな妖怪」と科学者の終わらない戦いを描いたからなのである。
謎の人物アスタロトを智慧袋に、正義感あふれる学生グループが金城学園大学の「革命」に乗り出した。手始めに乱行の悪名高い経済学部長夫人をノックアウトし、意気揚々と第二弾の計画へ駒を進める。ところが中盤に至って局面は急転、予想もしない殺人事件が待っていた!言い逃れようのない状況に追い込まれた学生たちは、千々に翻弄されながらも犯人を捜そうとするが…。鷹見緋沙子名義で発表された作品のうち天藤真の手になる、長編『わが師はサタン』と短編「覆面レクイエム」を収録。