LHRH(精腺刺激ホルモン放出ホルモン)細胞は、中種神経細胞としては得意な抹消機関である鼻に起源して脳に入るという、他の視床下部細胞では予想できなかった発生過程をたどる。また、下垂体門脈系血管を介して内分泌腺の中枢である下垂体に作用して、性ホルモン放出のプロモーターの役割を演じ、脳に広く分布して、生殖にかかわる情動や行動にも影響を与える。この細胞は、まさに性界のドンである。
かつて著者は投資者保護法の必要性を説いて『投資者保護の法理』を世に問うたが、本書は、これを出発点として今日までの間に同研究を深めた一連の著作を集めて、わが国における本格的な金融サービス法の制定に向けた提言を行うものである。アメリカやイギリスの投資者保護法制はどうなっているのかを詳細に調査研究し、そこで得られた結論をわが国の事例当てはめるとどうなるのかについて、立法論を展開し、あるいは業者の負うべき民事責任の判例法理の形成に向けて議論を展開する。
2000年3月の日本地理学会の春季学術大会で、「地球規模の環境変化とアジア・太平洋地域における海岸環境」と題してシンポジウムが開催された。本書は、このシンポジウムを骨格とし、さらに内容を充実させるよう新たな執筆者を加え、また各著者が図や写真を工夫して、広く一般の方々にも読んでいただけるようにわかりやすくまとめたものである。
性同一性障害、セックス依存症、ピルの解禁、勃起障害など、性をテーマに近年の動きを収めた論文集。日本で最初の性別再適合手術を行なった医師らによる鼎談も収録した本書は、性とこころのかかわり、およびその多彩なありようを知るための必読書である。
井上民二はボルネオの熱帯雨林に大がかりな林冠研究システムをたちあげ、陸上の最後の秘境“地上40mの林冠”に暮らす多様な生物の相利共生関係の解明に、若手研究者とともに挑んでいた。しかし1997年9月6日、研究フィールドへむかう小型飛行機の墜落事故のため急逝。享年49歳。日本を代表する独創的生態学者の夢と情熱の軌跡をたどる。
緑なす大自然の中に展開される鳥と昆虫の生存をかけた壮絶な闘いー。敵をあざむき威嚇する虫たちの擬態そして寄生など、生きのびるための驚異のテクニックと自然界のドラマを活写する。虫好き・鳥好きのための驚嘆のナチュラル・ヒストリー。
本書は、高齢者の外来診療に携わるすべての医師・看護婦を対象に、失敗をおかさないための基本的な事柄を21の戒めとしてまとめたものである。
スイスは連邦国家であり、連邦政府、州政府に該当する26のカントン、そして地方政府に該当する約3,000の自治体から形成されている。本書は、このスイスのカントンと自治体に焦点を据えて、その財政構造、税財政制度、及び政府間財政関係を分析するものである。
今日の生物学は、多岐にわたる物理・化学的手段によって肉眼の観察による認識からは想像もできないほどのレベルにある。しかし、この高度なレベルにもかかわらず、解明された知見に基づいて生物の実体を認識することは難しい。本書は、個体から細胞、分子のレベルにいたるまで形をとらえることが生物機能を正確に理解するのに最も肝要であるという視点から進化や遺伝、発生、代謝などを説明する。
本書では炭素材料、特に黒鉛と同じ炭素原子の六角網面を基本構造とした炭素材料およびそれらを評価するための基本的な評価技術のいくつかについて解説する。
ヒンドゥー至上主義の台頭、下層カーストの発言力増大、数億を超える中間層の誕生、IT革命の牽引車等々。アジアの大国インドは、急速に変貌をとげ、今まさに大転換期にある。ダイナミックに変貌するインド。その実態はいかなるものなのか。日本が21世紀のアジアを生き抜く上で現代インドの理解は不可欠である。日印文化交流に携わった著者が多様性大国インドの最新事情をレポートする。
本書はこれまで出版されてきたような外国人研究者による日本文化論でも日本人論でもなく、多文化比較による異文化マネジメントを内容としている。
「環境保全活動」として急速に広がりつつあるケナフ栽培やビオトープづくり、身近な自然を取り戻そうと放流されるメダカやホタル。しかしこれらの行為は、かえって環境破壊につながってしまうこともある。それはなぜなのか。では、どうしたらいいのか。本書は、生物多様性保全の視点から生き物を扱うルールについて掘り下げ、今後の自然体験活動のあり方を提案する。
初夢から始まって、除夜の鐘で終わる。生物学の超おもしろ講義。
若き日のJ.W.ミルナー(当時26歳)がプリンストン大学で行った講義をもとに、J.D.スタシェフと書き下ろした入門書。ミルナーはこの講義から5年後にフィールズ賞を受賞している。特性類(Characteristic Class)は、1930年代にH.ホイットニーとE.シュティーフェルによってほぼ同時に研究が始められ、微分位相幾何学の重要な概念へと発展した。本書は特性類の理論のみならず、その歴史や変遷までも解説していて、この分野を概観したい学生・研究者に最適の入門書である。