フランス十八世紀の啓蒙思想を「半啓蒙」と評して、その不徹底さを衝き、宗教の廃絶および法の支配する階級社会の廃絶を同時に達成すべくより根底的な社会変革を唱えたドン・デシャン。同時代のルソーやディドロに少なからぬ感銘を与えながら、あまりに過激な内容ゆえに二世紀にわたって封印され、埋もれてきたその哲学的手稿を完全な姿で復元する。
18世紀の想像力が生んだ社会改革の先駆的構想。マリヴォー「奴隷島」、ラッセ侯爵「しあわせ王国記」、レシチンスキ「ヨーロッパ人とデュモカラ王国人の対談」、モレリ「浮島の難破」および「自然の法典」、マブリ「フォシオン対談」、ラ・ロッシュ「ガリジェーヌ物語」の7篇を完訳(全3巻完結)。
ディドロはじめ啓蒙の哲学者たちによるヨーロッパ植民地主義への痛烈な自己批判ー