コオロギとあだ名される醜く貧しい娘ファデット。双子の弟ランドリーとの間に芽生えた恋は、娘に対する周囲の偏見、さらに双子の兄シルヴィネの嫉妬によって阻まれる。しかし二人は障害を乗り越え、周囲の理解を勝ち得て、ついには幸せをつかむのだった…美しい自然を背景にしたこの田園小説に、善意の人々の素朴な情愛を牧歌的に、また男女の恋愛を清らかに描いて、人の心を慰める、叙情的で可憐な作品。本テキストでは、ただ「あらすじ的」にダイジェストすることはやめ、作者の意図、原作のもつ性格、雰囲気を感じとれるよう、作品のやま場を抜粋収録しています。
先進社会の「福祉」は「弱者救済」ではないし、「ノーマラゼーション」はあるがままの障害者を受け入れるということではない。ひとりひとりの人間の可能性の追求こそが目標とされなければならない。著者たちの多年にわたる実践に裏付けられた「可能性の原理」は、日本の福祉のあり方ばかりでなく、教育のあり方や社会そのもののあり方を考えなおすもっとも重要な手がかりを与えてくれる。
高校・大学生の学力低下が社会的に問題になっているが、憂うべきなのは知識量の低下よりも、自ら考えるための思考力の低下である。大学受験国語は、限られた条件の下での出題とはいえ、高校の「国語」よりもはるかにバラエティに富む。心ある出題者が、思考の最前線に幾分かでも触れてほしいと願っているからだ。数ある受験問題の中から良問のみを厳選した本書は、たくまずして現代思想のすぐれたアンソロジーとなった。それらを解いてゆくことで、受験生、大学生、ひいては社会人にも、思考力が身につく、明快な一冊。
総観気象学は、地上天気図にみる温帯低気圧や移動性高気圧、前線、高層天気図にみる気圧の谷や尾根など、日々の天気の変化をもたらす大気の運動を扱い、気象学の中心的分野のひとつである。本書は、『一般気象学』の次のステップとして、この「天気予報を支える科学」に新しい解釈を加え、書き下ろした気象予報士・気象関係者必携の本。
贈り物と交換という日常の行為とその歴史、そこから簇生するさまざまな問題を通して人間性の総体を問う。
“神”なき人間が国家・民族・人種を神格化し、戦争・革命…と20世紀を大量殺戮の時代に仕立てあげた。人間が犯す悪の問題を近代の歴史全体のなかで分析し、“無信仰”の立場から、真の宗教心・生の意味を探る省察録。
20世紀末の現在、日本の農業・農村は多くの解決すべき問題を抱えており、昨年新たに食料・農業・農村基本法が制定されたところである。その中でも、旧基本法では触れられていなかった自然環境の保全など、農業の持つ多面的機能の重視、環境保全型農業の推進、基盤整備における環境との調和への配慮などが盛り込まれた。この具体化にあたっては農業生産の場を維持改善するとともに、その自然性をも保全するという困難な問題の解決が求められており、農村ビオトープの保全・復元・管理に関する研究的・技術的・運動論的解明が急務となっている。この解明にあたっては関係する専門分野も多く、特に生物・生態学・農学・農村工学と言ったこれまで交流の少なかった各分野の協力が求められている。本書はこれら専門家の協力によって作られた農村ビオトープに関する最初の書である。
幕末から明治初期にかけ、長崎に来たオランダ薬剤師によりもたらされた近代薬学の歴史を追う。
「論理的に出てくる」っていったい何だ。それを確かめるにはどんな方法があるだろう。その方法はどんなケースにも有効だろうか。かりに有効だとしても、そのことをどのように確かめたらよいだろう。…こうした問題にとりくむためには、おもちゃのような論理学をつくることからスタートし、それをだんだんと改良していく戦略が有効だ。学ぶに値するおもしろさに満ちた論理学の豊かな世界を基礎からマスターできる教科書。
本書は、『ロイヤル英文法・改訂新版』を使って学習する読者がのその理解度をチェックし、不十分な箇所を点検することを目的に編集されています。章建ては同書に準拠し、各問題も本体の解説に沿ったもので、現代の英米語の実態に合った問題で構成されています。巻末の「総合演習」は最近の大学入試問題を中心にした構成で、総合力を試すことができます。
専門書のくわしさ、学習参考書のわかりやすさ、辞書の引きやすさ、3要素がマッチした英文法の決定版。大改訂により、最新の英文法・語法情報が充実。
本書は今日モロッコで使われているアラビア語口語の学習を始める方々が、その理解を深め、その文法知識を実際の会話の中でどのように応用するかを示した入門書である。