「火事だ」という知らせで、理科室にかけつけた岐阜市立城道中学校の用務員は目を剥いた。鍵をさしこんで扉をあけた途端、床から白い煙が上っていて、男子生徒が倒れている。頭には割れた地球儀をかぶり、左手に鍵、右手に骸骨模型の肋骨を握りしめている。裸の上半身の左胸には十円玉を貼りつけ、そこから電気コードを繋げて、奇妙な形で感電死していた。燃え残った遺書から、いじめを苦にした自殺として警察は事件を扱った。それが学校を舞台にした連続殺人事件の発端となり、老弁護士・朝日岳之助の活躍が始まった。