額田王は近江朝という『万葉集』第一の開花期に最大の歌人として登場する。作家の井上靖は、『額田女王』で華麗な才媛のロマンに満ちた生涯を復元している。しかしその出自については、『日本書紀』に「天皇、初め鏡王の女、額田姫王を娶して、十市皇女を生しませり」とあるだけであり、現在定説とされているもののほか異説も多い。歌人としての長年の関心にもとずき、その歌にうたわれた背景・行動を検証し、加えて文献的検討、歴史学、考古学的研究から、独自に、額田王の実像に迫り、アプローチする。
日本で生まれ、その後満州へ渡り、終戦で再び日本へ。戦後の混乱期、言葉にできないような苦労を重ね、やっとの思いで幸せな家庭を築く。しかし、生き別れの妹と再会することで、著者の人生は大きく変化する…。これほど波乱に満ちた人生があっただろうか。
「だめぇ!あたしたち兄妹なんだよ…」亜希17歳の柔肌を辱しめるのは、子供の頃から憧れていた実の兄。しかし、今の征二は獣化ウイルスをまき散らす人類最大の敵なのだ。快感と絶望のなか、亜希は愛する少年の助けを願う。亮、お願い、お兄ちゃんの野望を阻止して!市川創士郎&やさまたしやみコンビが放つ禁断の学園ファンタジー。
大化の改新、白村江の戦い、壬申の乱ー謀略に満ちた時代を生き抜いた女帝。その心の闇とは?額田王、天武天皇、大津皇子ら、時代に翻弄された人々への鎮魂歌。
華やかな宝塚トップスターの素顔、童謡『サッちゃん』の父との少女時代、そして、癌闘病と看取り…家族の絆、人との出会いが胸を打つ実姉による書き下ろしエッセイ。
自らの意志を貫き愛に生きたおきゃんな江戸娘お順の波瀾の生涯。
父・勝小吉、初恋の人・島田虎之助、夫・佐久間象山、兄・勝麟太郎(海舟)、謎の剣客・村上俊五郎、さらに松陰、龍馬、土方歳三らも登場する幕末から明治を描く長編歴史小説。
今日こそダンクラーに会えるかしら?ファッションモデルのマリー・ビショップは、義兄のジョン・ダンクラーの帰りを待ちわびていた。体調を崩したマリーは、休養のため、久しぶりに実家のダンクラー・B牧場に戻ってきたのだが、今回の帰省には、もう一つの目的があった。モデル引退後、モデル・エージェンシーの共同経営者になるために、亡き父が遺してくれた信託財産を一日も早く手に入れたかったのだ。けれど、父から財産管理を任されたダンクラーを説得しなければならない。十三歳年上の彼は、マリーの保護者面をしてきっと反対するだろう。そう、私は父の再婚相手の息子であるダンクラーの妹なのだ。でも…。いけないと思いながらも、十五のときから彼に恋い焦がれている。ダンクラーとの再会を考えただけで、マリーは胸が苦しくなって…。
実妹が体制内の造反と家族間の確執を証言。幼少期からのカストロ兄弟の“実像”を活写、神話化された“ゲバラ像”に異議を唱える。キューバ革命の裏側がわかる衝撃の告白録。
天保十一年(一八四〇年)陰暦六月。牛久藩の勘定方下役・岡部隼人は、正木道場の筆頭に掲げられる剣の達人であり、師からただひとり、秘剣の奥義を受け継いでいた。算盤仕事に勤しみながら四歳年下の妹・澪、遠縁の少年・鉄草之進とつましく暮らす隼人だったが、藩の特産品である楮と漆の不正取引に気付いた頃から周囲が騒がしくなる。伯父から持ちかけられた急な縁談、御前試合への参加ー。だが、本当の試練はその先に待ち受けていた。妹を救うため隼人は秘剣を使うことを決意するが、それは必殺の剣でありながら決して使ってはならない外道の剣だった。江戸川乱歩賞作家の新シリーズ!
若き日の文子と玄瑞の出会いと別離を鮮やかに描いた幻の名著が、いま甦るー大河ドラマの主人公・文子の生涯。