本書の内容は4章に分かれ、第1章では、最近の話題であるHelicobacter pylori感染症や腸管出血性大腸菌(O157)感染症、AIDS関連の日和見感染症等を概観し、第2章では、原因別にアメーバ、蛔虫症、アニサキス症、吸虫症、条虫症等々多数の感染症を解説し、第3章では、コレラ、腸結核、MRSA腸炎などにも触れ、更に第4章では、各種消化器感染症の検査法も簡明に解説した。
平時一般に妥当していた民事実体法は、債務者の倒産を契機に一定の修整が施される。倒産実体法とは、このように倒産を契機に修整された一般実体法のことであり、この意味における倒産実体法は、一般実体法の特別法として位置づけられる。問題は、その倒産実体法がいかなる限度で特別法であるべきなのか、ということである。これが本書の主題である。つまり、およそ倒産法においては債務者の倒産を契機に債権者の個別的な権利行使が規制されなければならないが、それを越えて倒産法は一般実体法を正当に変更できるのか、できるとしたらその範囲はどこまでか、という問題が本書で検討される。
本書は、証券取引法に関する既発表の論文から、総論と不公正取引の規制に関する重要なものを選んで収録したものである。
本書は、著者が一九九〇年から二〇〇二年までの間に書いてきた一三編の論文に加筆、修正、補注を施して、人権、主権、そして平和という三つの柱立ての下にまとめたものである。
本書は、古墳の造り方に関する検討や、古墳築造当初の人々に近い視点で古墳を観察することによって、まず墳丘から古墳のもつ意味を復元していこうという意図で書いた。それに墳丘に付属する施設や、代表的な副葬品についても論を及ぼして、筆者なりの古墳時代像を復元しようと企図した。結果として、これまでの副葬品や埴輪研究では導き出し得なかった点を提起することができた。昨今の非実証的な古墳論あるいは政治史論が独り歩きしている風潮に疑問を持つ筆者としては、その前にまだ成さねばならぬ基層をなす研究が必要であろうと考えており、小論はその点を考慮した筆者なりの古墳という政治的モニュメントに対する「中間報告」である。
わが国の精神保健医療福祉施策は、「入院医療中心から地域生活中心へ」という基本方針が推し進められている。しかし、それは理念や理論の構築にとどまり、具体的な支援方法は未成熟な状態である。本書では、地域生活を支える就労支援の方法に焦点を絞り、米国で開発された就労支援プログラム(IPS)の効果をみていく。そして、量的研究と質的研究の側面から検証を重ね、地域精神医療における導入の可能性を探る。特に、社会資源が脆弱な地方小都市においてIPSの技術・技能の取り入れ方について展望する。
ヒュームとスミスの関係、ハチスンとの関係、そしてそれまでのトーリ史家やウィッグ思想家とヒュームがどういう関係にあるのかを詳細に多くの原典を紐解いて、文脈主義的に明らかにする。啓蒙の哲学的政治学としてヒューム思想の全体像を読み解く。
本書は、輸血および血液製剤に関するすべてを含み、全領域の実践医家、および関連するコメディカルの方々に、臨床および臨床検査における血液や血液製剤の使用のガイドと実用的な使い方を提供する目的で、第一線の専門家および臨床家にご執筆頂いて、使いやすいようにまとめた実用書である。
証券投資勧誘に際して証券会社やその外務員は投資家である顧客に対する情報提供に関してどのような義務を負うか。これは、多数のいわゆるワラント訴訟などを契機として、理論的にも実務的にも近年きわめて活発に議論されてきたテーマであるが、本書は、このテーマについての日米比較を試みる総合的研究である。