パリを始め海外諸都市の印象を語りつつ、それに照らして、江戸と明治を「十九世紀日本」として連続性で把え、内発的近代の可能性を提言した島崎藤村(1872-1943)の文明論集。第一次世界大戦前後のフランスへの旅、晩年の南北アメリカ大陸への旅と二度にわたる外遊の旅行記を中心に文明論の核心をなすエッセイを精選。江戸文化論の先駆。
研究者たち、ユーモア、そして科学の神髄。ノーベル賞科学者の魅惑的な自伝。
脱線、脱線、また脱線。逸脱と妄想とスピードでアメリカの虚飾と傲慢をぶちこわすサイケデリック・ジャーニー。ラスベガスの街をスラップスティックの嵐にまきこむドクター・ゴンゾーの快刀乱麻。ニュージャーナリズムの鬼っ子、ついに登場!
本書は、糖尿病&肥満専門の外来の医師としてダイエットを実際に指導している著者が、外食メニューを中心に、医学的見地からわかりやすく解説したものです。
自殺した同級生の葬儀に故郷秋田を訪れた作家がふりかえる自らの生の軌跡。友と聴いたクラシック、仲間と励んだ雪の中の野球…。万引事件や生家の破産を越えて胸に迫るのは懐しい思い出の数々。人生の終楽章を迎えて、自分を支えてくれた友人、父の愛、妻の献身に気づく。胸を打つ感動的な直木賞受賞作。
母との生き別れと一家離散、小学校中退、その後の職業遍歴など、逆境にありながら独学をかさね人生を学んでいく。小説・戯曲に数多の傑作を生み出した著者が、東京で新聞記者になるまでの半生を回顧する自伝随筆。
新聞記者を卒業間際に、わが国初の名古屋市立大学「社会人大学院」へ入学。厳しいリポート、緊迫の講義、熟年学生は悪戦苦闘。“落ちこぼれ”は挽回できるのか?かつての“遊学生”のツケは?泣き笑いのキャンパスライフを本音で綴る、生涯教育の必読本。
ダイイングメッセージは華麗なカトレアの花…。ロサンジェルスの高級住宅街で起こった殺人事件は、密室で自殺した男の犯行なのか。物言わぬ花はいったい何を告げるのか。事件に巻きこまれた“私”推理行は、ありうるべからざる犯人の名前を指し示す。ミステリー最後の放れ業に挑戦した驚天動地の大異色作。
強制収容所で焼かれ、煙と灰になった人々。なぜ600万人が殺されたのか。迫害と虐殺の恐怖の中で、人々はいかに生きたのか。アンネの生きた時代を、今みつめなおす。
浅見光彦の母・雪江が四国霊場巡りの途中で、交通事故に遭い、記憶を喪失した。東京に連れ戻された雪江はやがて記憶を取り戻したが、事故の加害者・久保彩奈が瀬戸大橋で自殺。浅見は母に命じられたまま香川県高松へ向かった。彩奈の不可解な死に疑問を抱いた浅見は独自の調査を開始する。そして、事件の重要な手掛かりを掴んだとき、彩奈の兄が「ウラシマ・タロウノ・ホコ…」とダイイング・メッセージを遺して殺された。讃岐路に浅見光彦の推理が冴える旅情ミステリー。
重要機密書類を持ったまま航空機墜落事故から奇跡的に助かった鶴見浩二。数名の生き残りとともに灼熱の大砂漠からの死の脱出行が始まった。そして宿命の対決をすべく後を追う山沖修介は。山本周五郎賞受賞作家渾身の大型冒険小説。
内蔵された高炸薬もろともに突入、敵艦を屠る人間魚雷「回天」-。鋼鉄の棺の中に己れの青春を封じ込め、生還ゼロパーセントの攻撃に三たび出撃、空しく帰投した不屈の男が、僚友たちの奮戦と苦悩をつづる大海底戦記。
1975年、アメリカ軍は、ベトナムからでていきました。何年もつづいたベトナム戦争が、ようやくおわりをつげたのです。しかし、戦争は、その時だけではおわりませんでした。いまも、戦争ちゅうにアメリカ軍によってまかれた枯葉剤の被害に苦しむ人びとが、おおぜいいるのです。本書は、大石芳野がベトナムでじっさいに会ってきた人びと、ひとりひとりの、生の声の記録です。小学中級以上むき。
銃殺刑に処す、執行は24時間以内ー。スターリン粛正を生き抜き、60年ぶりに故郷の土を踏んだ日本人の手記。
チャップリンからジャームッシュまで、〈画面〉自体によって再構成される新しい映画論の冒険。密度、フレーム、モンタージュ…。刺激に満ちた5つのエッセー。
温暖化のなかの冷夏、相次ぐ台風、長雨と干ばつの併存。気象の異常は続く。原因は温室効果か、エル・ニーニョか、火山爆発か。60年代、世界に先駆けて異常気象を指摘した著者は、80〜90年代を数万年に一度の超異常気象の頻発期と捉え、太陽活動の変化にその原因を求める。一方、オゾンホール拡大など人間活動の増大による環境悪化が進行、対策は足踏み状態にある。地球環境は今後どう変動するのか。気象学の第一人者による臨床的診断。