本書は関東大震災に遭遇して三〇歳で亡くなった洋画家久米民十郎の最初の研究書である。第一次世界大戦中ほぼロンドンを拠点にして、詩人エズラ・パウンド、W.B.イェイツらと交流して、前衛的なヴォーティシズム(渦巻派)に接する一方で、オカルトにも関心を深めた結果、帰国後自ら「霊媒派」を名乗り、その構想を英訳した小冊子とともにニューヨークやパリで作品を披露した。一九一〇〜一九二〇年代の欧米芸術界の時代背景を克明に描きながら、日本のモダニズムの先駆者久米民十郎の全貌を明らかにした労作である。
そのイメージはいかに作られたのか、文化史の観点から読み解く。郷里での評判、伝記や小説、銅像や肖像画、新聞やネットにいたるまで、さまざまなメディアを通じ浮き彫りにする。
初めて明かされた“水上文学”の土壌。電灯も風呂もない極貧の生家、“口べらし”のため幼くして出された寺でのみじめな日々、京都五番町で初めて女を抱いた夜の記憶ーこれは著者自身が語る赤裸な告白の書である。
家康の天下統一は徳川軍団による共同作業だった。武名を轟かせた猛将・本多忠勝、傷だらけの切り込み隊長・井伊直政、家康を育てた四天王筆頭・酒井忠次、大胆かつ繊細な兵法家・榊原康政、信頼のおける名参謀・本多正信、合戦では忍ばなかった隠密頭・服部正成ー。家康はいかに彼らの才能を引き出していったのか?最強の集団に学ぶ組織づくりの秘訣。
五街道の起点・日本橋には、江戸時代初期から多くの伊勢商人が進出した。今に続く鰹節販売の老舗“にんべん”を興した〓津家もそのうちの一つであった。亨保改革期から田沼時代・寛政改革・文化期まで活躍し、三百二十年の歴史の基礎を築いた〓津家三代・四代当主の活動を克明に記した日記・文書、そして、その思想・人生哲学を伝える史料を初めて翻刻、解題・通釈を付して公刊。資金繰り、相場の変動、雇用問題、家族の死、度重なる災害など、目まぐるしく変わる状況に彼らはいかに対応してきたのかー江戸に生きた商人・町人の暮らしを映し出す貴重資料。
クラプトンが音楽キャリアを開始した63年から82年までの全コンサート/レコーディング・セッション記録を中心に、自身や関係者の声も交えて構成したE.C.研究書の決定版「ERIC CLAPTON DAY BY DAY:1963-1982」が待望の邦訳!!マニアにはお馴染みのクラプトン専門家、マーク・ロバーティが現存する資料を入念に調べ上げ、日々の活動を詳細に記述。客演を易む全セッションのプロセスや、ツアーのセット・リスト、ギャラ(!)に至るまで、現在判る限りの情報をまとめた執念の1冊です。
近現代を支えた「沖の女たち」。強く、烈しく、美しきその生。サルトル&ボーヴォワールも瞠目した、女性港湾労働者たちの苛酷な仕事ぶりと人情味溢れる素顔に迫る、孤高の記録作家、唯一無二の仕事。150点の貴重な写真を集成。懇切な解説付。
将軍家から格別の恩恵を賜っている伊奈家は、関東群代を世襲し権勢を誇っていた。その裏には神君が隠匿した莫大な遺産を譲るという役目が。だが、逼迫した財政を立て直すべく、幕府重鎮・田沼意次がその奪略をもくろむ。当主・半左衛門は武と智を尽くして応戦するが…。やがて迎えた対決の時、死してなお世を揺るがす家康の策略が明らかになる。
すべての厄介な問題は、関係性のなかで起きている。現場で起きる「わかりあえなさ」から始まる諸問題は、ノウハウで一方的に解決できるものではありません。その「適応課題」と呼ばれる複雑で厄介な組織の問題をいかに解くか。それが本書でお伝えする「対話」です。忖度する・論破するでもなく、相手の「ナラティヴ」に入り込み、新しい関係性を構築すること。それこそが、立場や権限を問わず、新たな次元のリソースを掘り出して、組織を動かす現実的で効果的な方法なのです。組織論とナラティヴ・アプローチの超実践的融合。いま最も注目の経営学者、待望のデビュー作!
グレートジャーニーとは500万年まえ東アフリカで誕生した人類が、何万年、何万世代もの時間をかけて、南アメリカの最南端にたどりついた人類最大の旅。1993年12月、関野吉晴はグレートジャーニーを逆ルートで歩みはじめた。小学校高学年から。
千三百年の時空に神と仏と鬼が集い山、言祝ぐ。
青壮年の男性が根こそぎ戦地へ送られた後、軍需工場の現場を埋めたのは、今の中・高生に当たる年代の生徒たちだった。劣悪な労働環境と激しい空襲の中、少年少女たちは何を見、何を体験したかー。初めて総合的にまとめられた学徒総動員の記録。