呉服店の娘である母・絹子は、家族の生活を守るため、持ち前の商才を駆使して巧みに立ち回り、生きる希望をつないでいた。食糧難でも明るくにぎやかに暮らす一家だが、長男の出征や疎開により、次第に離ればなれになっていく…。敗戦が色濃くなった太平洋戦争末期の東京郊外。死と隣り合わせの日々の中で、何が人々を奮い立たせたのか。実体験をもとに、迫りくる脅威と懸命に闘う庶民の姿を描く。
液状化被害=家屋傾斜、インフラ途絶、敷地境界移動…2011年3月11日の東日本大震災で、大規模な液状化に見舞われた東京湾岸エリア。ここに自宅を構え、自らも被災者となった建築士が記録した液状化被害の実際と、この国に蓄積されてきた伝統的建物復旧=水平化技術から先端的工法、それらの複合手法など、復旧にいたる術を解説。地盤との関係を紐解きつつ、次なる液状化への備えと課題を探る。建築士必読!意外と知らない「建物と液状化の関係」
朝鮮通信使一行の旅行記録に、くり返し彦根の地に対する称賛の言葉が記されていることは、あまり知られていない。行き届いた“おもてなし”の背景には、徳川将軍家光のブレーンとして朝鮮通信使の成功に向けて尽力した彦根藩主・井伊直孝による、こと細かな指示があった。初紹介の史料も駆使し、「陸路中の第一」と讃えられた彦根における日朝交流の具体像に迫る。
一所懸命に生きてきた!急速に変化し続ける社会、もつれる人間関係…。そのなかで悩み、病み、憎しみながら紡いできた魂の言葉たち。あなたにも、少しだけ立ち止まって耳を傾けて欲しい。
日本人から戦争の記憶が消える前にー体験者が次代に託す、覚悟の証言。追い詰められた末の「集団自決」、終戦後も続いたソ連軍の侵攻、日本本土への命がけの引き揚げ、現地に取り残された残留孤児…。敗戦前後に人々を襲った苦難と悲惨。シリーズ全3巻完結。
ある日を境に、紗雪の身の周りで不審な事故が相次いだ。奇妙に感じた家族からお寺でお祓いするようにすすめられ、お寺に行くことに。しかし、話を聞いた住職は彼女に津々良という拝み屋を紹介するだけだった。仕方がなく拝み屋を頼るために教えられた住所に向かい、そこで着物に身を包んだ男性・津々良と出会う。彼との出会いで紗雪は、少しずつ自分の心の在り方を見つけていくー。
自然の中で生活し、自然の中で温かい最期を迎える。人と人の絆をつなぐ、心の宿の風景。
人と自然との関わりをテーマに“森気楼の森”を舞台に展開するファンタスティックミステリー。山を愛し森を愛し木を愛して高原の森に住む著者が、人間社会の身勝手さから里山の自然を破壊した歴史を告発。
1年に「508日」働き、睡眠は5時間40分。二宮尊徳を尊敬し、農業の本分を完うして、国に尽くす。明治・大正・昭和を、「時間」と競争しながら生き抜き、その毎日を記録しつづけた、ひとりの日本人の生き方。