これも圓朝の作品で、決して明るい噺ではないし、この2枚でもまだ“序”という長尺ものだが、聞き手をダレさせることなく一気に聴かせるところはさすが。ここでも登場人物の台詞廻しの巧さがリアリティを感じさせる。根津の廓の描写も見事なものだ。
圓朝が自作の芝居噺「累ヶ淵後日怪談」を明治になって素噺「真景累ヶ淵」と改作・改題して演じたのを圓生が。旗本深見新左衛門が金貸し宗悦を殺し、後に深見の息子新五郎が宗悦の娘お園まで殺してしまう噺。真景は明治の流行語“神経”の転換だという。
六代目圓生は最後まで圓朝の影に挑み続けた。この大作を自分の藝で後世に残したいという気迫には鬼気迫るものがある。その意味で{昭和の名人}という評は不満だったかも。昭和という冠を外した{名人}の称号こそ、この人が求めていたものではないか。
心の内に見、心の内なるものを無限定に表現すること。これが禅の庭である。禅の境地を空間に解き放つ現代の石立僧、枡野俊明の最新作品集。
ベルギー出身のバロック・チェロの名手、ディールティエンスによるヴィヴァルディ:チェロ協奏曲集の第2弾。自らが結成したアンサンブル・エクスプロラシオンと、まるで室内楽のような活発な音楽的コミュニケーションを繰り広げている。
1962年のワールド・チャリティ・ツアーの途中に英国で録音された、シナトラ唯一の海外録音作。英国にちなんだ曲で構成されており、多少かすれ気味の声ではあるが、ベテランの味を醸し出した歌唱が堪能できる。
ラモー生誕330周年記念公演が、没後250周年にCDに!
クリスティと仲間たちによる『ラモー氏の庭園で』
ジャン=フィリップ・ラモー[1683-1764]は、2013年が生誕330周年でした。その2013年の3月に、ウィリアム・クリスティ率いるレザール・フロリサンが『ラモー氏の庭園で』と題された、ラモーを中心とした演奏会を催しました。ラモーの他に、ミシェル・ピニョレ・ド・モンテクレール[1667-1737]、アンドレ・カンプラ[1660-1744]、ニコラ・ラコ・ド・グランヴァル[1683-1764]、アントワーヌ・ドーヴェルニュ[1713-1797]、クリストフ・ヴィルバルト・グルック[1714-1787]と、ラモーの前後の世代の作曲家を交えて、17世紀終わりから18世紀半ばまでのパリのバロック・オペラの多様な面白さを浮かび上がらせています。
この演奏会は、「声の庭園」というシリーズの6回目に当たるもの。このシリーズでは毎回、クリスティとポール・アグニューによって指導された若く優秀な歌手が起用されています。今回も逸材揃い。ダニエラ・スコルカは1987年、イスラエルのハイファ生まれのソプラノ。潤いのある美声に品のある情熱が乗った卓越した歌手です。エミリ・ルナールは、英国タプロー生まれのメゾ・ソプラノ。しっとりとした落ち着きのある歌が見事。ベネデッタ・マッズカートはイタリアのメゾ・ソプラノ(アルト)。まだ20代前半という若さですが、大変に注目されています。ザカリー・ワイルダーは1984年、米国サンタモニカ生まれのテノール。現在はパリ在住で、すでにバロック声楽作品でかなり活躍しています。ヴィクトル・シカールは、1987年、フランス西部のラ・ロシェル生まれのバリトン。美声で多くのコンクールを征した逸材で、ことにモーツァルトのバリトン役で人気があります。シリル・コスタンツォは1985年トゥーロン生まれ。地理学を学んでから歌手に転向した人で、数年で急速に活躍が広がっています。
クリスティとレザール・フロリサンの演奏については「素晴らしい!」の一言で十分でしょう。長年フランス・バロック・オペラの最前線に立ち続けているクリスティならではの高みが楽しめます。
美麗なケースに、CDと解説冊子(歌詞の仏英対訳付き)の他、1966年生まれのフランスの作家アドリアン・ゲッツによる「ノルマンディの庭園で」(仏英語)の冊子も収められています。(キングインターナショナル)
【収録情報】
・ラモー:『イポリートとアリシ』から
・ラモー:『エベの祭典』第1アントレ『詩』から
・ラモー:『ダルダニュス』から
・ラモー:『優雅なインドの国々』から
・ラモー:カノン『笑いから離れ』
・ラモー:カノン『起きろ、際限なく寝る奴め』
・ドーヴェルニュ:『死に行くエルキュル』から
・ドーヴェルニュ:『ヴェネツィアの女』から
・カンプラ:『優雅なヨーロッパ』第2アントレ『フランス』から
・モンテクレール:『ジェフテ』プロローグから
・ラコ・ド・グランヴァル:カンタータ『何もない』
・グルック:『改心した酒飲み』から
ダニエラ・スコルカ(ソプラノ)
エミリ・ルナール(メゾ・ソプラノ)
ベネデッタ・マッズカート(アルト)
ザカリー・ワイルダー(テノール)
ヴィクトル・シカール(バリトン)
シリル・コスタンツォ(バス)
レザール・フロリサン
ウィリアム・クリスティ(指揮)
録音時期:2013年3月29-31日
録音場所:パリ
録音方式:ステレオ(デジタル/ライヴ)
Disc1
1 : Ouverture
2 : Riez Sans Cesse - Dans Ces Beaux Lieux
3 : De Quels Nouveaux Concerts
4 : Quelle Voix Suspend Mes Alarmes?
5 : Quels Doux Concerts!
6 : Rien Du Tout
7 : Pour Braver Les Prils
8 : Ciel, Il Me Laisse
9 : Livrons-Nous Au Sommeil
10 : Maudit Ivrogne
11 : Il Est Mort
12 : Rendez Mon poux la Vie
13 : Que de Plaisirs L'amour Nous Donne
14 : Canon: Ah! Loin de Rire
15 : Canon: Rveillez-Vous Dormeur
16 : Quoi! Pour L'objet de Votre Ardeur - L'amour, en Comblant Nos Dsirs
17 : Paisibles Lieux
18 : Que Vois-Je, Quel Spectacle! - Aimez, Belle Bergre - Que Je Sache Du Moins
19 : Voyez Vos Genoux - Lorsque Doris Me Parut Belle - Que N'adresse-Vous Mieux
20 : Quel Funeste Coup
21 : Revenez, Tendre Amant
22 : Je Vous Revois - Sans Cesse Les Oiseaux Font Retentir
23 : Fuis, Porte Ailleurs Tes Fureurs
24 : Htons-Nous, Courons la Gloire
25 : Voici Les Tristes Lieux - Monstre Affreux
26 : Mais Un Nouvel clat
27 : Des Biens Que Vnus Nous Dispense
28 : Tendre Amour
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