この圓生百席もついに44作目。この「吉住万蔵」は、解説の宇野信夫曰く“当代といわず、あとにも先にも、私共の知る限りでは、こうした噺のできるのは、まづ圓生をおいて一人もいないといっても過言ではありません”というくらいの圓生百席独断場の人情噺。
先代円歌は新作も古典もこなした、レパートリーの広い噺家だった。「呼び出し電話」は先代金馬の作だが、円歌によって新作ものの代表として知られる。「七段目」は忠臣蔵ものの傑作で、円歌の十八番。明るい芸風、リズミカルな語りが魅力だが、女性を演じると不思議な色気を感じさせる。(二)に歌奴(後に圓歌)の真打昇進披露口上を収録。
日フィル定期のライヴ。コバケンといえば、チェコ・フィルとの劇的な“幻想”の録音が記憶に新しいが、これまた熱気に溢れたベルリオーズ。作品の交響的な本質を見事に捉え、真に迫った表現を実現している。随所に聴かれる唸り声にも彼の気迫がうかがえる?!
グールドがご執心だった作曲家の1人にシェーンベルクがいる。解釈は調性の破壊者や20世紀音楽の創始者としてではなく、逆にロマン主義から連なる潮流の末裔としての捉え方。歌曲集だが、歌の存在感を超えてピアノが巨大な主張をするのは仕方あるまい。
ノスタルジックなポップスをハウスによって現代サウンドに変えてしまったセント・エチエンヌのデビュー作。ビーツ・インターナショナル同様レゲエのアイデアをうまく取り入れ、ワン・パターンになりがちなハウス・ミュージックをおもしろくしている。