“世界の七不思議”の一つ、「バビロンの空中庭園」には不可解な謎がある。王都陥落時に屋上に逃げた王女が、敵兵の眼前で不意に姿を消したのである。考古学界の権威・葦沢教授はその謎に取り組んでいたが、解明直前に大学の屋上から墜落死した。しかも、犯人は屋上から忽然と消失、まるでバビロンの王女のように…。二千年の時空を超えた「人間消失」トリックとは。
江戸の大名達が競って造った大庭園-後楽園、六義園、浴恩園…。それらは京の庭園をしのぐ造形をもった「社交」と「儀礼」の装置であった。本書は初めて「大名庭園」の真実の姿に迫り、京都一辺倒の日本庭園史をくつがえす。
資産家の人知れぬ“楽しみ”が、取り返しのつかない悲劇へとつながる表題作。日本中に大パニックを起こそうとする“怪物”『ジャバウォッキー』。完璧に偽造された遺書の、アッと驚く唯一の瑕疵を見事に描いた『完璧な遺書』-。おなじみ有栖川・火村の絶妙コンビが魅せる全部アタリの絶品ミステリ全6編を収録。
四季折々に慈しまれた名家の庭、町家の空間に凝縮された坪庭。江戸時代から現代まで親しまれ、育まれた非公開の名庭を紹介する。
渋沢龍彦没後八年、完結した全集の編集委員の一人として、旧制高校以来の親友・喧嘩仲間・深刻なライバルの著者にして初めて語れる渋谷龍彦の実像。ほかに、安吾、谷崎、三島など、仏文学者の著者が〈親愛の情〉かたむけた作家論を併録。
居ながらにして味わう「名庭観賞」の旅。全国各地の名庭・名園を一流カメラマンが特撮。幾多の茶匠が創造してきた、非公開の露地とわびの名席を多数収録。
日本庭園における眺望は、風景を遠望する行為から発達した。それは平安貴族の別業(別荘)の選定条件となり、浄土庭園では不可欠なものとして展開する。本書は、庭園遺跡の発掘をもとに、古代人の景観眺望に対する意識を分析する。
本書は庭園という空間の領有の形式と人間の追想の関連を分析している。詩学とは制作学であり、しつらい、収集、巡礼、そしてパターンは、人間の理解の本質を突き詰めたうえで選定された実に解りやすい分類である。庭園という形態は、文化の圏域を超えて、空間や時間の隔たりを超えて伝わり、咀嚼され、根づいてきた。庭園の部分と全体を結びつけて、空間や形態の構成を成立させているものには、おそらく自然に対する人間の態度が映し鏡のように投影されているはずである。著者たちは、イスラム、ムガール、イタリア、フランスの整形庭園、イギリスの風景式庭園、中国庭園、そして日本庭園、それからバリ島、チベット、カシミールでの自然と人間の関わりを取り上げている。著者たちは場所の精神を訪ね、庭園を見つめ直し、自然と人工性の関わる様々な問題を探究してゆく。庭園には、様々な人工性を見ることができる。その場所に深く関わった人物たちが書き残した感性や所見を通じて、その時代の気分を身近に感じながら、著者たちは実際に庭園を訪ねた折の実感を記している。
庭園を見つめることによって浄土が見えてくる。東西の名園を訪ね、「造景」する精神文化の深層を浮き彫りにする、比較文明論的フォト・エッセイ。
中国で、造園のみならず、こうした「天のみが成し得る所業」を人間が代行することは、古くから人々の間で求められてきたことである。天の産物とされていた不老の秘薬の生産を志した錬金術もまたその一つである。錬金術においては、自然産物の変化・生成する時間を操作することにより、目的の物質を生成しようとしている。園林においても、自然を模写するだけでなく、自然の技を模写しようとする。であれば造園とは、自然風景の錬金術であると言ってよいかもしれない。
この本では、どこの家にもある1平方メートルくらいの狭い場所でも、新緑、花、実や紅葉と四季の変化が楽しめるミニ庭園作りのアイデアや作業例をイラストを中心にわかりやすくまとめてみました。
木々の緑、土のうるおい、吹きわたる風ー。静寂とやすらぎの空間、庭園を訪ね歩いた名園紀行。広大な心字池と鬼岳の熔岩で構成された五島・福江島の旧領主の庭(江戸末期築造)や、白砂が広がる中に巨岩が露出する原始のままの姿を伝える八重山諸島竹富島の庭など、九州・山口・沖縄の隠れた名園130を網羅。
庭園の歴史を詳説し、二百以上の名園を豊富な写真をまじえて紹介した。
全国100余ヵ所の伝統的庭園を650枚の写真・図版を使い解説。