レパートリーの広い人だった。しかも分かりやすい。ここにも、もう圓生しかやらないような噺がのっている。歌舞伎((1))上方噺((2))講談物((3))というネタを、見事に自家薬籠中の人情噺に仕上げているところがさすが。文楽とはまた違った完璧主義者だった。
(1)は前半を縮めて演じられることが多い噺だが、ここでは、3人の旅人が馬子にからかわれたり、年を取った尼女郎にヘキエキとされるなど、円生らしい細かい描写を織り込み、通しでたっぷりと聴ける。(2)は代表的な狂歌噺で、女中の物言いが生き生き。
人間がお狐様になりすまし、人を騙す「紋三郎稲荷」。侍と船頭の演じ分けが小気味よい、欲深かな船頭の夢物語を枯れた口調で語る「夢金」。大ホラ吹きの「彌次郎」は勢いというかテンポが勝負の噺で、四季がゴチャ混ぜの庭の描写など豪華絢爛である。
先代円歌は新作も古典もこなした、レパートリーの広い噺家だった。「呼び出し電話」は先代金馬の作だが、円歌によって新作ものの代表として知られる。「七段目」は忠臣蔵ものの傑作で、円歌の十八番。明るい芸風、リズミカルな語りが魅力だが、女性を演じると不思議な色気を感じさせる。(二)に歌奴(後に圓歌)の真打昇進披露口上を収録。
日フィル定期のライヴ。コバケンといえば、チェコ・フィルとの劇的な“幻想”の録音が記憶に新しいが、これまた熱気に溢れたベルリオーズ。作品の交響的な本質を見事に捉え、真に迫った表現を実現している。随所に聴かれる唸り声にも彼の気迫がうかがえる?!
グールドがご執心だった作曲家の1人にシェーンベルクがいる。解釈は調性の破壊者や20世紀音楽の創始者としてではなく、逆にロマン主義から連なる潮流の末裔としての捉え方。歌曲集だが、歌の存在感を超えてピアノが巨大な主張をするのは仕方あるまい。
ノスタルジックなポップスをハウスによって現代サウンドに変えてしまったセント・エチエンヌのデビュー作。ビーツ・インターナショナル同様レゲエのアイデアをうまく取り入れ、ワン・パターンになりがちなハウス・ミュージックをおもしろくしている。
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