ジンギスカンの秘宝が、中国北辺に流れついた男たちの暗い野望を煽る。新伝奇の名作として知られる表題作、天明期、シベリア探険を試みた日本人の異常凄絶な最期、中国紅軍に参加したドイツ人の酸鼻を極めた体験奇譚など、虚実ないまぜ、異境での人間の孤独な夢と暗い情熱を描く七編は、妖しいまでの魔力で読者を異次元世界へ誘う。幻想と幽闇の彼方に燦然と屹立する小栗伝奇ワールドの巨峰。
なぜ人は学ばねばならないのか。人はどう生きるべきか。益軒の豊富な人生経験を踏まえて書き綴られた本書『慎思録』は、説得力に富み、味わい深い。人生の岐路に立たされたとき、そして、よりよく生きるために人は何をなすべきかを懇切丁寧に説く。今日の日本人がわすれがちな正義・信義・真実・正直・誠実など、現代にも通じる二百四十二の生き方を、原文と口語訳で平易に解説した実践的教訓書。
自由や民主主義は、本当に絶対的な価値であったのか。戦後日本を根底から問いなおす現代日本社会論。
戦前から今日までの日本の造船所の歴史と、技術開発の積み重ねを自らの経験により解説し、未来を構築するための提言を行う。
社会を支えていたはずの政治・経済・教育・家庭といった基盤が、崩壊の危機に瀕している現代日本。アメリカが強く掲げ、戦後日本が導入した「デモクラシー」とは、壮大なるフィクションだったのであろうか。敗戦から半世紀、わたしたちは「戦後民主主義」の名のもとに、「自由」「平等」という言葉の内に潜む危うさを意識的に回避してきたのではなかったのか。社会に「共有の価値」が失われたとき、「自由なる個人」は、一体どこへ行くのか。経済思想、社会思想の研究から現代文明批判、社会批判へと展開を広げる著者が、現代日本の病理を描き、戦後民主主義五十年の大いなる錯誤を突く。
「市民」のためと銘打つ政党が結成され、また、外国人ジャーナリストによる官僚社会批判が「市民運動」のテキストとしてベストセラーとなる現代日本。そこで描かれるのは、権力を我がものとする官僚VS.「市民」が主役の民主主義、という構図である。「市民」が、単なる「都市の住民」であることを超えて、神聖な存在に祭り上げられた思想的背景とは何だったのだろうか?戦後日本の思想の歪みを鋭く衝いた意欲作。
“東京の達人”枝川公一と歩く多様族都市TOKYO味覚のエスノロジー。
韓国人の帝国陸軍中将。フィリピン戦犯裁判で、一言の弁明もせず絞首台に上った武人の清冽な生涯。
食文化の原典、今日に再生する1500年以前の加工調理法、だれにもわかり易く説かれた画期的口語訳と解説!第一線研究者によって食の神秘の扉はついに開かれた!食文化のルーツ。
本書は、普段の生活に密着したなかから考案され、主として明治時代に特許登録されたささやかな発明ばかりを取り上げている。