ぐっすり眠る真夜中にきみの夢の中にあらわれる心霊スポットの使者が。
その物語はせつなく、時に可笑いくて、またある時はおぞましいー。閉ざされた全寮制の学園で起きた悪意のゲームに、美しい双子姉妹の哀しい秘密。崖の上で出逢った青年と少女が解き明かす化け物屋敷の切ない過去や、大きな古いお城に一人で住む不思議な少女の正体。妹が家の階段を怖がる理由とは…。背筋がぞくりとするようなホラー・ミステリ作品の饗宴。気鋭の作家による傑作短編が一堂に会した贅沢なアンソロジー。
美しい金髪の下級生を誘拐する、有名私立中学校の女子三人組(「とうもろこしの乙女」)、屈強で悪魔的な性格の兄にいたぶられる、善良な芸術家肌の弟(「化石の兄弟」)、好色でハンサムな兄に悩まされる、奥手で繊細な弟(「タマゴテングタケ」)、退役傷病軍人の若者に思いを寄せる、裕福な未亡人(「ヘルピング・ハンズ」)、悪夢のような現実に落ちこんでいく、腕利きの美容整形外科医(「頭の穴」)。1995年から2010年にかけて発表された多くの短篇から、著者自らが選んだ悪夢的作品の傑作集。ブラム・ストーカー賞(短篇小説集部門)、世界幻想文学大賞(短篇部門「化石の兄弟」)受賞。
学生が持ってきた歪んだ顔の男の心霊写真。語ると伝染する水珠という名の水死者。元編集者が見た、フィンランドのホテルフロントにいる二メートルを超す大男。中国の学生寮にある水が染みだすベッド。自分の黒い影にぐんぐん覆われていく自称霊能者。-著者は綴る。記録する。人々の記憶を、亡者たちからのメッセージを。どこまでが現実で、どこまでが夢だったのだろう。悪夢を断ち切ってくれた神秘の力とは。視える著者の体験をはじめ、蒐集した百話の怪談。待望のシリーズ第四弾。