ある寒村に病死者が続く。原因は不明。若き医師ピーターは、病因をつきとめようと、恩師ジェームズ卿とともに、ついに村の墓地を暴く。2人の発見した驚くべき事態。だが、それは恐るべき真相のほんの一端にすぎなかった。(「吸血ゾンビ」)カルパチア山脈を旅する4人は、とある古城に誘いこまれた。その夜の血の惨劇から、暗黒の凶人が復活する。そして聖なる戦いを挑む神父シャンドール。(「凶人ドラキュラ」)怪奇映画としてもその名を知られている、ホラー傑作双編、完訳!
それは、夏のある昼下がりのことだった。メレディスはプリーリの木陰で、葉ずれの音に身をまかせるように、静寂の中にまどろんでいた。ふと人の気配がして、目を開ける間もなく影が顔にかかり、そして…やさしく唇が奪われた。ああ、やっとこの人は私のもとに帰ってきた。幸せに酔いながらメレディスは、慎み深く、やがて熱い情熱に翻弄されて彼の口づけにこたえた。「マイケル、あなたなのね?」彼女はささやいて目を開けた。じっと見つめるブロンドの男性は…マイケルではなかった。
映画館の暗闇を出た途端、君は見たこともない「幽霊都市」に放り出された。透明人間、キングコング、モスラ、狼男、魔女…など、お馴染みの怪物たちが待ち受けている。そして、都市中に張りめぐらされた時間軸と空間軸が、君を過去や異郷にワープさせる。襲いかかる怪物に、知恵と勇気で戦いを挑み、君は勝ち続けなければならない。はたして恐怖の都市から、無事に脱出できるだろうか?江戸川乱歩賞受賞作家が書き下ろした、大好評ゲーム・ノベルの第三弾登場!
フィリップ・K・ディック研究読本。ヴォネガットと並ぶ現代文学の教祖ーP・K・ディックの世界を体験する試み。
1979年の米・スリーマイル島原発事故を克明に再現する。巨大システムの安全性を考える迫真ドキュメント!
〈首都・東京を48時間で制圧する!〉深夜、正体不明の3人の男が、突如、破壊活動を開始した。東京証券取引所、築地中央市場を擁し、新幹線を含む交通大動脈の走る日本の経済・情報・生活の心臓部ー中央区を、彼らは集中的に攻撃し始めたのである。いったい彼らの目的は何なのか?その正体は?苦悩する政府・警察首脳。そして自衛隊の治安出動ー戒厳令を布く刻が迫りつつあった……。
「ミステリィ」を意図したものを書き始めた。この短篇集も、そうした傾向の作品を集めたもので、人の心の謎の中でも特に興味深いものー愛と、その裏返しである憎悪や嫉妬が主題になっている。ちょっと大げさな言い方をすれば、私のミステリィというものに対する考え方を集約したような本を作りたいと思い、自分ではわりと気に入っていながら、これまで短篇集には収録せずに残しておいた作品を集めたものである。
「すごく忙しいの。会社を出るのは毎晩7時過ぎよ」ステファニーが疲れた顔でこぼした。同僚のジェシーは、ちらりと意味ありげに彼女を見て言った。「いつも社長が送っていくんですってね」ステファニーはどきっとし、必死に心の乱れを隠そうとした。ジェシーが笑って言葉を継いだ。「ロマンチックね、社長が秘書に恋をするなんて」「いやだ、勝手な想像されちゃ困るわ」「でも普通は、残業したからってだれも送ってくれないわよ」ステファニーは黙った。あの事件のせいで、社長との間柄は…。
憑かれたように走って死を迎える男。満月の夜に繰りひろげられた血塗られた饗宴。内臓をむさぼる美しい女。漆黒の虚空を泳ぐ巨大な竜。濃霧の中から突然広がる屍累々の世界。壜の中に浮かぶ緑色に染まる女の裸体…。日本土着の残虐と優美を現代に投影する、めくるめく幻想と現実の夢魔。当代きってのエンターティナーが描く、鮮烈なイマージュの全九話。