「さらば、民主国家日本よ、だな」日下良治は自嘲気味に呟いた。政府の“教育改革審議会”が、徴兵制に道を拓く答申を出したのだ。翌朝、モンペ姿の妻に揺り起こされた日下は、息子の達郎に“赤紙”が来たことを告げられる。そこは昭和二十年、太平洋戦争下の東京だった。(表題作)羅針盤を失った現代の日本に、著者が警鐘を打ち鳴らす!「危機意識」を呼び覚ます四編。
〈首都・東京を48時間で制圧する!〉深夜、正体不明の3人の男が、突如、破壊活動を開始した。東京証券取引所、築地中央市場を擁し、新幹線を含む交通大動脈の走る日本の経済・情報・生活の心臓部ー中央区を、彼らは集中的に攻撃し始めたのである。いったい彼らの目的は何なのか?その正体は?苦悩する政府・警察首脳。そして自衛隊の治安出動ー戒厳令を布く刻が迫りつつあった……。
「ミステリィ」を意図したものを書き始めた。この短篇集も、そうした傾向の作品を集めたもので、人の心の謎の中でも特に興味深いものー愛と、その裏返しである憎悪や嫉妬が主題になっている。ちょっと大げさな言い方をすれば、私のミステリィというものに対する考え方を集約したような本を作りたいと思い、自分ではわりと気に入っていながら、これまで短篇集には収録せずに残しておいた作品を集めたものである。
これを最後と決めていた航海を終えて、江田繁は9か月ぶりに帰国した。しかし、港には、婚約者内野綾子の出迎えの姿はなかった。綾子は、数日前に会社を辞め、住んでいたマンションまで引き払って姿を消していたのだ。裏切りか、誘拐か、必死に綾子の足跡を辿る江田は、次々と意外な事実を知らされる。やがて江田は、正体不明の男たちに襲われた…おとなの恋を縦糸に、覚醒剤密造グループの暗躍を横糸に、練達の筆が巧みに織り上げる異色のラブ・サスペンスの世界。渾身の書下し!
人食い魔女をたおせ!!名剣スターライトがうなる!きみは宝石を取り戻せるか?
富と女を手中にして、殺人者の完全犯罪は着々進行する。そしてまた第二、第三の女と殺人が…。当局の追及を必死にかわす犯人の知恵と、微妙にからむ男女の性を、人間心理の深層でとらえるサスペンスミステリーの秀作。
昔も、ひたすらものを書いていた。今も、ひたすらものを書いている。大いなる夢を喰らいつづけ、幻想的宇宙的神秘のロマンに酔いしれる。獏裂するパワーに乾盃。スーパー伝奇小説の旗手、夢枕獏の最新エッセイ集。
推理文学の鬼と謳われる作家12人がミステリーのアイデアと文章テクニックの粋を凝らして織りあげた、珠玉の短編12編を収録。
渋い二枚目俳優として知られる波崎裕一郎は、池袋のラブホテルにミユキという名のコールガールを呼んだ。大柄で豊かな乳房と尻を持つミユキは、波崎にとって理想的な“生贄”だった。波崎の衝動は爆発し、ついに殺意が…歓喜の極みに震えるミユキの首を一気に絞めかかった!陶酔の余韻の中で、復讐の儀式を終えた波崎だったが、彼の内に潜む悪魔は次なる“生贄”を求めて疼き出した。波崎は、絵画展で彼と同時入賞を果たした、中谷千佳子に静かに接近していった。波崎の中に蠢く少年時代の戦慄の記憶。波崎は誰に復讐しようとしているのか?謎と恐怖を孕んだ、著者会心の書下ろし長編サスペンス・ロマン衝撃作!
もし家を持ちたいとお考えなら、この本を読んでからにしていただきたい。現代日本をおおう住宅病から解放されるためにー。気鋭の建設家が豊かな実践をふまえて構想する、新しい家づくりのすすめ。
急速に進む日本型クレジット社会の危機を、初めて解明する。カード犯罪が増大し、ローンの不払い、自己破産が横行するのはなぜか。思わぬ誤算が一生を左右する悲劇に結びつくことに、どうして気づかないのか。その原因を深く剔出し、パニックを未然に防ぐ業界・消費者への具体的な提言を盛る衝撃のルポ。
夢か現実か。現実の世界に、非日常が入りこむ時、そこには無限の闇が…。夢枕獏。栗本薫。赤川次郎。竹河聖。4人の作家による4つの恐怖。