トムは、友だちのディマーをつれて、バンクーバーの祖父母のところへ遊びにきている。市内のガスタウンはむかし、貧民街だったところで、いまも麻薬密売人がいるとの噂がたえない。トムの探偵熱がムクムクと頭をもたげる。家出少年のようなふりをして、ガスタウンにもぐりこもうとしたトムはたちまち事件にまきこまれるー。
死んだ父親が愛用していた航海用具の六分儀。それが息子のジョナサンの前に突然現われた。警察から渡された六分儀を見て、彼はわが目を疑った。貨物船の船長だった父は第二次大戦中Uボートの魚雷を受け、船もろとも嵐の海に沈んだ。そのとき六分儀も一諸に沈んだはずなのだ。乗組員は全員死亡している。では、なぜ?警察の話では、六分儀はスコットランドの村で盗まれたものだという。不可解な謎を解くため、ジョナサンは恋人と調査を始めたが…やがて明かされる父と乗組員の驚くべき運命とは?海洋冒険小説とミステリを結合させた力作。
逃げてきたの。車から飛びおりたのよ。それから暗くなるまで隠れて、うちまで走ってきたのー女教師リンダ・ハモンドの娘の話は明らかに誘拐末遂事件を示していた。犯人は、同じ学校の生徒の父親という。少女の証言に基づき、警察はその父親を容疑者として逮補した。しかし、容疑者はどんな手を使ったのか、拘置所の中からダナのもとへ、不気味な脅迫まがいの電話をかけてきた。しかも、証拠不充分により減額された保釈金を払い、大胆にも被害者の家へやってきたのだ。現実の悪夢に襲われた母子の姿を強烈なサスペンスとともに描く問題作。
学徒出陣の戦中派による昭和史。戦争体験者が忘れてはならない暗黒の時代を新しい世代に語りつぐ。40数年たった今でも忘れることはできない悪夢。今、昭和の一断面を生々しく物語る。
香港に赴任している私は、ここでの生活に満足していた。食べ物も旨いし、なにより美貌の中国人秘書との情事にすっかり溺れていた。次第に妻の存在が疎ましくなってきたある日、秘書が案内してくれた秘密パーティで食した超美味な特別料理に魅せられてしまった。そしてその日から妻が行方不明に…。全編を奇妙な恐怖で包んだ異色ショートホラー&サスペンス集。
「モンスター・ホラーショウ」の作り出す世界では〈ウェアウィザード〉〈ゲームマスター〉がすべてを取り仕切る。お馴染みの「戦士や魔法使いたちで構成されたパーティーが地下迷宮を探険する」というゲームだけでなく、どんな工夫でも受け入れられる柔軟なゲームシステムをブレナンは意図している。そのために〈何でも表〉〈神秘の部屋〉〈モンスター園〉などが用意されている。
負債総額115億円。資産なし。社員は半減し、残った者も士気は最低。誰もが再建不可能と信じた吉野家はしかし、わずか7年で負債を完済。そしていまや、経常利益率業界トップのエクセレントカンパニーとして、西武セゾングループの中で確固たる位置を占めるに至ったのである。会社更生史上空前にしておそらく絶後であろう“奇跡の再建”は、いったい如何にして行なわれたのか?吉野家の急成長と挫折、そして劇的な復活を忠実に追う大型ドキュメント。
第1次大戦後1919年の混沌とした暗黒のプラハ。作家フランツ・カフカは、昼間は保険局の事務所で働き、夜は小説を書く生活を送っていた。ある日、親友が突然姿を消し、水死体となって川に浮んだ。事件調査を開始したカフカは、官僚社会の破壊を目的とするアナーキスト達に巻き込まれ、悪夢のような迷宮の世界へ入り込んでいく。そして不思議な石工に導かれ、官僚主義の本拠“謎の城”で見たものは…。ジェレミー・アイアンズ主演、『セックスと嘘とビデオテープ』のスティーブン・ソダーバーグ監督が挑んだ超話題作。
犯罪捜査とDNA鑑定、進化論、バイオから「ジュラシック・パーク」まで最新の遺伝子情報をユーモラスに紹介。
西シベリア平原では、日・イスラム枢軸国軍と米・露連合軍の凄絶な戦闘が繰り広げられ、日本製ハイテク兵器の前に、ロシア軍は壊滅状態にあった。核兵器は2005年に全面撤廃されていたため、核による反撃はできない。いまや崩壊へと驀進するロシアの最後の望みは、米国陸軍第7機動部隊だけだった。司令官のジョン・テイラー大佐は、日本軍基地への奇襲攻撃を企てる。ついにノボル・カバタ将軍率いる日本軍との直接戦闘が開始されるのだ…。
ボストン近郊の町で、若い女性が惨殺された。精神異常のホームレスが容疑者として浮かび上がり、麻薬中毒ながらも有能な精神科医フランクが、その男の精神鑑定を依頼される。が、警察の思惑とは裏腹に、男の有罪に疑問を抱いたフランクは、やがて血なまぐさい惨劇の渦中に巻き込まれていく…。ジョナサン・ケラーマン、ネルソン・デミルらが激賞するハードボイルド・サスペンスの力作。
8月の暑い夜、イタリア内務警察のトロッティ警視は女性の惨殺死体発見の知らせに現場へ駆けつける。だが死体の身元を知って驚いた。彼女は昔、トロッティが憎からず思っていた女性だったのだ。管轄外だと署長に止められるが、彼は独自捜査に乗り出した。しかし、なかなか手掛りは得られない。一方、死体の第一発見者で被害者と同じアパートの住人ボアッティは、なにかとトロッティに接触してきて…。うだるような暑さのなか、人間味溢れた定年間近のベテラン警視が直面する迷路のような難事件を描く上質ミステリー。