夜の闇が忍び寄って来る。廃てられた大きな館に続く荒れた道を、冷たい夜風が吹き抜けて行った。館は人気もなく、すっかり荒れ、深い闇が中をおおっていた。闇の中を老婆がひとり、物悲しい子守り歌を静かに口ずさみながら歩いていく。今は亡き子供たちに、ずっと昔歌ってきかせた歌ー悲しく美しいJ・ハーバートの怪奇スリラーの傑作。
富と女を手中にして、殺人者の完全犯罪は着々進行する。そしてまた第二、第三の女と殺人が…。当局の追及を必死にかわす犯人の知恵と、微妙にからむ男女の性を、人間心理の深層でとらえるサスペンスミステリーの秀作。
昔も、ひたすらものを書いていた。今も、ひたすらものを書いている。大いなる夢を喰らいつづけ、幻想的宇宙的神秘のロマンに酔いしれる。獏裂するパワーに乾盃。スーパー伝奇小説の旗手、夢枕獏の最新エッセイ集。
推理文学の鬼と謳われる作家12人がミステリーのアイデアと文章テクニックの粋を凝らして織りあげた、珠玉の短編12編を収録。
惑星ホリスター。豊かな森に囲まれたハートランド正教会が襲撃された。グリーン大神父とサーニアの身を案じ、シェビーはホリスターへ急行した。だが、そには巧妙な罠が…。宇宙賊ガルダは、一族を滅亡に追いやったシュトロム中将に復讐を誓い、一方、艦隊司令アウグスタ大佐はシュトロムが奪い取ったガルダの一族の財産を狙っていた。それぞれの思いを呑み込んで、闘いの幕が上がる。ガルダの魂を天界に導くため、シェビーは運命の地、レジナ基地へ。最後の闘いに間に合うか、シェビー。-そして暗闇に銃声が響いた…。感動のシリーズ、ついに完結。
渋い二枚目俳優として知られる波崎裕一郎は、池袋のラブホテルにミユキという名のコールガールを呼んだ。大柄で豊かな乳房と尻を持つミユキは、波崎にとって理想的な“生贄”だった。波崎の衝動は爆発し、ついに殺意が…歓喜の極みに震えるミユキの首を一気に絞めかかった!陶酔の余韻の中で、復讐の儀式を終えた波崎だったが、彼の内に潜む悪魔は次なる“生贄”を求めて疼き出した。波崎は、絵画展で彼と同時入賞を果たした、中谷千佳子に静かに接近していった。波崎の中に蠢く少年時代の戦慄の記憶。波崎は誰に復讐しようとしているのか?謎と恐怖を孕んだ、著者会心の書下ろし長編サスペンス・ロマン衝撃作!
幼なじみのシュンサクと再会して、大喜びのアサキ。早速、彼の姉・ミサオが出演するバレエ公演をみにいくことにした。ところが、ミサオは悪霊に…。オカルトチックミステリー。
いま、巨大な統一ヨーロッパが誕生しようとしている。ソ連邦・東欧の解体、冷戦の終結、指標なき現代に、新たなスーパー・パワーである“ニュー・ヨーロッパ”のもつ意味は、かぎりなく大きい。当代随一のヨーロッパ通、練達のジャーナリストが、ドラマチックな筆致で描ききったヨーロッパの現代と未来。
アイドル歌手・畠中有里奈にいったい何が起こったのか。刺されたはずの自分が生きていて、刺した男が死体で発見されたのだ。悪夢の1夜に耐えきれず、彼女は法月父子に救いを求めたのだが…。知的興奮とスリル。回転計はレッドゾーンにはりついたままだ。
大検校宮城道雄の“事故死”に深くかかわった1人の女の、苛まれ、焙り出されるように道から外れた“狂いの記”。