学生が持ってきた歪んだ顔の男の心霊写真。語ると伝染する水珠という名の水死者。元編集者が見た、フィンランドのホテルフロントにいる二メートルを超す大男。中国の学生寮にある水が染みだすベッド。自分の黒い影にぐんぐん覆われていく自称霊能者。-著者は綴る。記録する。人々の記憶を、亡者たちからのメッセージを。どこまでが現実で、どこまでが夢だったのだろう。悪夢を断ち切ってくれた神秘の力とは。視える著者の体験をはじめ、蒐集した百話の怪談。待望のシリーズ第四弾。
「さらば、民主国家日本よ、だな」日下良治は自嘲気味に呟いた。政府の“教育改革審議会”が、徴兵制に道を拓く答申を出したのだ。翌朝、モンペ姿の妻に揺り起こされた日下は、息子の達郎に“赤紙”が来たことを告げられる。そこは昭和二十年、太平洋戦争下の東京だった。(表題作)羅針盤を失った現代の日本に、著者が警鐘を打ち鳴らす!「危機意識」を呼び覚ます四編。
あなたの夢に出てきた人、モノ、できごととは何ですか?夢は未来へのヒント。